
日本初の女性首相の下で初の衆院選が行われる。ジェンダーと政治に詳しい上智大の三浦まり教授(現代日本政治論)に話を聞いた。
―高市早苗氏が女性初の首相に就任した。
自民党は国政選挙で2連敗した。今、女性を立てれば党勢回復につながると期待し、「保守の女性」だから安心して総裁に選んだのだろう。
―女性首相誕生はジェンダー平等にプラスか。
これからの社会次第でプラスにもマイナスにもなる。「女性首相も出たし、これ以上取り組む必要がない」となれば頭打ちになる。本人もジェンダー平等に後ろ向きだ。他方、高市氏のような世襲でもない女性が首相になれたことは画期的で、女性がより政治参画していく方向に行く可能性もある。
―突然の衆院解散となった。
与党内の調整もない解散は、この政権の危うさを象徴している。公明党が連立政権を離脱して初めての選挙となるが、結果次第でどのような政権の枠組みになるか有権者に見えないのが問題だ。
―ジェンダー政策面の争点は。
旧姓の通称使用法制化か、選択的夫婦別姓でいくのかは、一大論点だ。通称使用の拡大では不便が解消されないと指摘されている。政府・与党が国会に提出する旧姓使用法案の内容も焦点になるが、それを選挙で提示していないのは問題だ。
―首相は女性の健康問題を重視している。
高市政権で更年期などの女性の健康課題は前進すると思う。ただ、生理の貧困や性的自己決定権の問題までいくかが気になる。買春規制以外のジェンダー政策は基本的に進まないのではないか。
―労働時間規制の在り方も焦点だ。
かつての労働基準法には女子保護規定があり、女性の時間外労働は制限されていた。1997年の男女雇用機会均等法改正の際、男性の労働時間に上限規制をかけるという議論もあったが、女性が従来の男性の働き方に合わせる形となった。男性的な長時間労働ができる女性は少なく、多くが一般職や派遣に流れ、女性間の格差が広がった。
さまざまな理由で長時間働けない人も働ける環境をつくらないと、人口減少の日本で経済は回らない。長時間・長期間働ける人を標準にしない社会が求められる。
三浦まり(みうら・まり)1967年生まれ。慶大法学部卒、米カリフォルニア大バークレー校政治学博士課程修了。2018年に一般社団法人「パリテ・アカデミー」を設立。日本政治学会の初の女性理事長に10月に就く予定。
【時事通信社】
〔写真説明〕インタビューに答える上智大の三浦まり教授=1月14日、東京都千代田区
〔写真説明〕インタビューに答える上智大の三浦まり教授=1月14日、東京都千代田区
2026年02月03日 14時31分