安全保障も独自路線=サウジと距離、イスラエルに接近―UAE



【カイロ時事】石油輸出国機構(OPEC)からの脱退を宣言したアラブ首長国連邦(UAE)は、安全保障面でもサウジアラビア主導の枠組みから距離を置く独自路線を進めている。2月末以降、イランからの激しい反撃を受けたことで経済発展の基盤だった「安全神話」は崩壊。危機的状況の中、アラブ諸国では歴史的にタブー視されてきたイスラエルとの安保協力を一段と進め、「頼れる相手」(UAE高官)の選別を進めている。

米イスラエルの対イラン軍事作戦でイランは米軍が駐留する湾岸諸国への報復に踏み切り、特にUAEへの攻撃が激しかった。UAEが第1次トランプ米政権の仲介で2020年にイスラエルと国交を正常化し、同国と関係を深めてきたことも背景にあるとみられる。

湾岸諸国はこれまで、サウジを盟主とする湾岸協力会議(GCC)の下で結束してきた。しかし、イランへの対応では、同様の事態が繰り返されないよう徹底的な体制弱体化が必要だと訴えるUAEへの理解がGCC内で広がらなかった。UAEのガルガシュ大統領顧問は4月27日、GCCの結束は「過去最低で、弱腰だった」と不満をあらわにした。

UAEとサウジは近年、イエメン情勢への対応などで確執を深めている。サウジ西部ジッダで28日、GCC首脳会合が開かれたが、UAEは同じ日にOPEC脱退を発表。共同歩調をアピールしたかったサウジに公然と反旗を翻す形となった。

一方、米メディアの報道によると、イスラエルはイランとの交戦が続く中、UAEに防空システム「アイアンドーム」を供与。「門外不出」のシステムが外国に提供された初の事例といい、イスラエルのUAEに対する信頼の深さがうかがえる。供与は米国の同意の下で行われたとみられ、UAE出身の安全保障専門家は、UAEへの軍事支援で米イスラエルが「真の同盟関係」を証明したと評価している。

防衛面では英仏やオーストラリア、韓国などもUAEを支援し、ウクライナは無人機対策を申し出た。UAEは今後、米国とイスラエルとの関係強化を安全保障体制の基軸にしつつ、国際的な連携の多角化を図るとみられる。

【時事通信社】 〔写真説明〕アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領(写真右)とイスラエルのネタニヤフ首相(EPA時事)

2026年04月30日 12時45分


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