
東日本大震災の津波で児童、教職員計84人が犠牲となった宮城県石巻市の震災遺構「大川小学校」で、建物の劣化を抑えるための保全作業が行われている。遺族有志の呼び掛けで全国から集まった寄付金約300万円を活用。屋根の防水塗装などを約1カ月かけて行う。
市は、被災当時の状態で残す「存置保存」の方針だが、震災から15年がたち経年劣化が進んでいる。遺族によると、雨どいの防水シートが剥がれコンクリート表面に穴が開いているという。
市は、大川小を含め2カ所ある遺構の運営費として年間約4900万円を充当。2024年に外壁の一部が剥がれ落ちた際は別途、補強工事を行ったが、担当者は「(保存に関する)ご遺族の要望全てに応えるのは財政的に難しい」と話す。
そこで遺族は昨年から寄付の呼び掛けを始めた。小学5年の次女=当時(11)=を失った紫桃隆洋さん(61)は「市にお願いするだけでは時間がかかるし、費用面で厳しいこともある。学校を長く残すために、子どもを亡くした親として今できることをしたい」と強調する。
イラン情勢の影響も出ている。作業を請け負う地元の塗装業者によると、防水加工用塗料も値上げが進んでおり、「ご遺族に負担をかけたくないとの思いで、大幅な値上がり前に何とか仕入れた」と打ち明ける。
ただ、対策が必要な箇所は山積みだといい、今後も寄付などの協力を呼び掛ける考えだ。小学3年の長女=同(9)=を亡くし、語り部として活動する只野英昭さん(55)は「ここを残して伝えることに意味がある。全国からの寄付に感謝している」と話す。
【時事通信社】
〔写真説明〕震災遺構「大川小学校」の保全作業を見守る遺族の只野英昭さん(右)=11日、宮城県石巻市
〔写真説明〕震災遺構「大川小学校」の校舎の保全作業=11日、宮城県石巻市
2026年06月27日 14時32分