「インダスの水」高まる緊張=印は裁定拒否、パキスタン対応警告



【ニューデリー時事】かつて古代文明を育んだ大河インダス川を巡り、インドとパキスタンの間で緊張が高まっている。上流に位置するインドは昨年4月以降、川の水資源配分を定めた条約の履行を停止し、履行再開を求める国際的な裁定も拒否。これに対し下流のパキスタンは武力行使をちらつかせ、対抗措置を警告している。

「水は生命の基盤。決して武器として使われてはならない」。パキスタンのシャリフ首相は今月1日、キルギスの首都ビシケクで開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議の場で訴えた。念頭にあったのはオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所による前日の裁定だ。

仲裁裁判所は8月31日、インドが宣言したインダス川水利条約の履行停止について、一方の当事者だけが停止することはできず、「引き続き完全に有効」と判断。インドに履行を命じた。

「敗訴」した形のインドは反発。同裁判所の存在自体が「違法」と主張した上で、履行は再開しないと改めて強硬姿勢を見せた。

同条約は、一つの英国植民地からそれぞれ分離独立した印パ間の紛争を回避するため、世界銀行の仲介で1960年に結ばれた。インダス川本流と西側の支流2本をパキスタン、東側の支流3本をインドに割り当て、流量データの交換を義務付けるなどしている。

しかし昨年4月、インダス川の最上流域にある両国の係争地カシミール地方のインド側で観光客ら26人が殺害されるテロが起きた。インドはパキスタン当局が裏で糸を引いたと主張し、条約の凍結を宣言。パキスタンは関与を否定している。

人口約2億5000万人のパキスタンのかんがい農地のほとんどはインダス川の水に頼っている。シャリフ氏は「水は一滴であってもレッドライン(譲れない一線)。インドが正しい道を歩まなければ直接的な対応を取る」と、実力行使も辞さない構えだ。核兵器を保有する印パが水資源を争って新たな衝突へと突き進む事態が懸念されている。

【時事通信社】 〔写真説明〕インダス川で漁網を設置する漁師=7月1日、パキスタン南部ハイデラバード(EPA時事)

2026年09月22日 08時02分


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