
【ニューヨーク時事】22日からの今年の国連総会一般討論演説は、人工知能(AI)がもたらすリスクへの「世界的な調整が不可欠」というグテレス事務総長の訴えで幕を開けた。各国首脳も演説で相次いで危機感を口にし、期間中のハイレベル会合やサイドイベントでも、AIは主要テーマの一つとなった。
ただ、開発で先行する米国は一律の規制に反対する姿勢を堅持。危機管理のための国際的な基準づくりの必要性が叫ばれる中で、先行きには暗雲が立ち込める。
グテレス氏は「全ての国が発言権を持つ場所は一つしかない」と強調し、国連を舞台に多国間のAIリスク管理の枠組み構築に取り組むことを呼び掛けた。国連は昨年、AIの可能性やリスクを報告する独立専門家パネルを設置。今年7月にはジュネーブで、国際的なルールづくりに向けた初めての会合を開いた。国連の役割は情報や対話の場を提供し、議論を促すことが中心だ。
トランプ米大統領は22日の一般討論演説で「AIを規制するグローバリストの枠組みを構築しようとする、いかなる試みも完全に拒否する」と強弁した。昨年、中国は「AI国際統治における国連の主要なチャンネルとしての役割を支持する」(馬朝旭外務次官)と一定の協調姿勢を示したが、安全基準に関して国連の議論を待たず、独自の基準の国際標準化を狙っているとされる。
フランスはAIについて「米中だけが意思決定を担うわけではない」(マクロン大統領)という立場。安全保障理事会の議長国として23日、AIを巡る会合を開催した。開発減速論に同調した米オープンAIのアルトマン最高経営責任者(CEO)らを冒頭の報告者として招いた。
AIを巡る議論のハイライトは24日の米中首脳会談。グテレス氏は、核軍備管理における米ソを念頭に「冷戦下でライバル同士がリスク管理の必要性を認識した」と指摘した。アルトマン氏も安保理で「競争関係にある国々が、強力な新技術に直面して共通の利益と公益のために協力した時代があった」と述べ、「今回もそうでなければならない」と訴えた。
【時事通信社】
〔写真説明〕国連本部で演説するグテレス事務総長=22日、ニューヨーク(AFP時事)
2026年09月25日 07時16分