
【ニューヨーク時事】高市早苗首相は22日、トランプ米大統領とニューヨークで就任後4回目の対面会談に臨み、24日の米中首脳会談を前に、対中認識の擦り合わせを図った。しかし、30分余りの会談で日本の立場をどこまで打ち込めたかは未知数。各国の耳目が集まった国際刑事裁判所(ICC)問題を巡るやりとりの詳細は明らかにされなかった。
「ドナルドと私のリーダーシップのおかげで協力が進んでいます」。トランプ氏と3カ月ぶりに向き合った首相はファーストネームでこう語り掛け、2人の蜜月ぶりをアピール。先の内閣改造を「大きな改造でした」と振り返り、「ご安心ください。皆さんのカウンターパートは留任しました」と同席した茂木敏充外相らの続投を紹介した。
トランプ氏は中国の習近平国家主席を23日にワシントンに迎え、今年2回目の会談に臨む。11月の中間選挙で共和党の苦戦が伝えられる中、外交実績をアピールしたいトランプ氏が「ディール(取引)」を急ぐ可能性があり、日本の懸念事項を置き去りにしないよう事前にクギを刺しておくのが今回の首相訪米の最優先課題だった。
トランプ氏も今回の会談を「重要な会談」(米ホワイトハウス高官)と位置付けていたようだ。トランプ氏が国連総会に合わせて正式な首脳会談を行ったのは日本、英国、フランス、ウクライナの4カ国のみ。米政府関係者は中国と関係が冷え込む高市氏との会談をてこに、米中会談を優位に進めたい思惑がトランプ氏にはあったと指摘する。
防衛費増額や対米投資を巡る日米交渉で譲歩を引き出すため、トランプ氏が高市氏に恩を売ったとの見方も出ている。トランプ氏は会談の冒頭、「あなたは日本の首相として歴史に名を残す」と持ち上げることも忘れなかった。
会談では幅広い分野で協力を推進していくことを確認した。「会談は立ち話程度の長さ」(米政府関係者)との観測もあっただけに、首相同行筋は「これまで以上に非常に打ち解けた雰囲気だった。最もいいタイミングで日米同盟の強固さを世界に示せた」と胸をなで下ろした。
もっとも、通訳の時間を加味すれば、会談は正味15分ほど。トランプ氏は11、12両月にも国際会議に合わせて習氏と会談する可能性があり、日米外交筋は「トランプ氏がディールに傾く可能性は否定できない」と警戒を解いていない。
トランプ氏は22日の一般討論演説で、ICCを「ならず者機関」と非難。加盟国に脱退を呼び掛けたが、首相は演説で米政府による赤根智子ICC所長への制裁などに触れなかった。日本政府は日米首脳会談での議論についても「率直なやりとりを行った」としか説明していない。
トランプ氏と他国首脳の会談ではトランプ氏が取材に入った記者と質疑応答を延々と繰り広げるのが恒例。しかし、22日の会談に臨んだ高市氏はこれを阻むように「そろそろ会談を始めましょう」とカメラ撮りを打ち切った。ICCに関する質問が記者から飛び、両首脳の立場の違いが浮き彫りになるのを避けたとの見方が出ている。
【時事通信社】
〔写真説明〕会談する高市早苗首相とトランプ米大統領=22日、米ニューヨーク(AFP時事)
〔写真説明〕国連総会で一般討論演説に臨む高市早苗首相=22日、米ニューヨーク(AFP時事)
2026年09月24日 07時07分