北方領土、強硬姿勢強めるプーチン氏=対ロ制裁で交渉中断、自ら訪問も―日ソ共同宣言70年



日本とソ連(当時)が、平和条約締結後に北方領土の歯舞群島と色丹島を引き渡すと明記した日ソ共同宣言に署名してから19日で70年となる。ロシアのウクライナ侵攻後、日本の対ロ制裁に反発するプーチン政権は同条約締結交渉を中断。領土問題は「決着済み」とする立場を鮮明にし、プーチン大統領が自ら択捉島を初訪問するなど強硬姿勢を一段と強めている。

◇2島も見通せず

プーチン氏は8月、極東サハリン州を約13年ぶりに訪れた。海軍太平洋艦隊幹部らを前に北方四島のロシア帰属は「第2次大戦の結果生じた現実」と述べ、日ロ関係悪化の責任は日本側にあると主張。翌日には択捉島を初めて訪れ、2000年の大統領就任後守り続けてきた「一線」を越えた。

転換点は22年のウクライナ侵攻だ。プーチン政権は、西側諸国と足並みをそろえ対ロ制裁を科す日本を「非友好国」として敵視。日本に見切りをつけたかのように平和条約交渉の中断や北方四島の「ビザなし交流」の合意破棄を次々に決めた。今月13日には北海道新聞記者を「スパイ容疑」で拘束したと発表し、日ロ間の緊張は前例がないほど高まっている。

故安倍晋三元首相とプーチン氏は18年、日ソ共同宣言を条約交渉の基礎とすることで合意。同宣言は国後島と択捉島について記述がなく、日本が「4島返還」から「2島先行返還」にかじを切ったと受け止められた。だが、70年の節目は2島返還さえ見通せないまま迎えることとなった。

◇対中配慮も

ロシアの対日強硬路線は中国への配慮との見方もある。今年5月にプーチン氏と中国の習近平国家主席が発表した共同声明には、昨年の高市早苗首相の台湾有事発言以降、中国側が繰り返す「新型軍国主義」の文言が盛り込まれ、日本を名指しで批判した。

背景には、中国がウクライナ侵攻を下支えしてきた経緯がある。欧米が対ロ制裁を強化する中、中国はロシア産原油の購入や軍民両用品の対ロ輸出を継続。ロシアの対中依存は大幅に高まり、中国との関係性を重視せざるを得なくなった。

日本に詳しいモスクワ国際関係大のドミトリー・ストレリツォフ教授は「日本の『軍事化』という言説は実際の状況を反映しておらず、むしろ中国との立場の一致を誇示するためのものだ」と指摘。日ロ関係は国際情勢に大きく左右されるとして、「ロシアと西側諸国の陣営対立で日ロが異なる側に身を置く限り、両国関係の前向きな進展は到底期待できない」と強調した。

【時事通信社】 〔写真説明〕日ソ共同宣言の調印式に臨む鳩山一郎首相(手前左から2人目)とソ連のブルガーニン首相(手前右)=1956年10月、モスクワ 〔写真説明〕択捉島の水産加工場を訪れたロシアのプーチン大統領(右)=8月13日(AFP時事)

2026年10月19日 07時03分


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