盆踊りなどの民俗芸能「風流踊」の無形文化遺産登録が30日、決まった。各地では住民が拍手や万歳で喜ぶ一方、課題となっている保存や伝承に向け、思いを新たにする声が上がった。
約400年の歴史を持つ「郡上踊」の地元、岐阜県郡上市では、登録決定を祝うセレモニーが開かれ、約200人が集まった。会場に設けられたスクリーンには審議の様子が映し出され、決定の瞬間、大きな拍手が湧き起こった。
今年設立100周年を迎えた「郡上おどり保存会」の藤田政光会長(90)は「記念すべき年に世界に認められてうれしい」と顔をほころばせ、「後継者育成に尽力していきたい」と意気込んだ。
郡上踊は今年、3年ぶりに開催されたが、来場者は大幅に減少した。同市観光連盟の池田喜八郎会長(73)は「観光面でもできる限りのことをし、オール郡上で盛り上げていきたい」と話した。
「西馬音内の盆踊」のある秋田県羽後町では、会場に約30人の関係者が詰め掛け、登録が決まると席を立って万歳した。保存会の佐藤寛悦会長(63)は「これからは世界中から注目されると思う。その分私たちが保存伝承し、守っていきたい」と決意を示した。幼い頃から踊り手を務めてきた佐藤幾子さん(73)は「無形文化遺産になるとは思ってもいなかった」と話した上で、「素晴らしい踊りなので、世界の人にも見て踊ってもらえたら」と期待を込めた。
各地の保存団体でつくる「全国民俗芸能『風流』保存・振興連合会」事務局があり、「綾子踊」の地元・香川県まんのう町では、公民館に集まった住民約50人が踊りで使用する太鼓や鐘を鳴らし、くす玉を割って祝った。
同連合会会長で綾子踊保存会の白川正樹会長は「やっと登録できた」と笑顔を見せる一方、「登録は最終目的ではない。これを励みに頑張りたい」と語った。住民の北山保雄さん(68)は「(担い手)不足が心配。登録で踊りを知ってくれたら変わるかもしれない」と期待を寄せた。
【時事通信社】
〔写真説明〕「西馬音内の盆踊」を含む「風流踊」のユネスコ無形文化遺産登録が決まり、万歳する関係者ら=30日夜、秋田県羽後町
〔写真説明〕無形文化遺産登録決定を喜ぶ「郡上踊」などの保存会員ら=30日夜、岐阜県郡上市
〔写真説明〕「西馬音内の盆踊」を含む「風流踊」のユネスコ無形文化遺産登録が決まり、拍手する関係者ら=30日、秋田県羽後町
〔写真説明〕無形文化遺産登録決定を祝う綾子踊保存会の白川正樹会長(右)ら=30日夜、香川県まんのう町
2022年11月30日 21時54分