障害者雇用率上げ、環境整備カギ=企業の半数未達、労働の「質」課題



企業による障害者の法定雇用率が1日、2.5%から2.7%へと引き上げられた。障害者の就労機会の拡大などを目指した障害者雇用促進法に基づく措置だが、従来基準でも達成企業の割合は半数に満たない。企業は「数」だけでなく労働の「質」の確保も求められており、障害者が能力を発揮しながら安心して働ける環境をいかに整えるかが課題となっている。

野村ホールディングス傘下の特例子会社「野村かがやき」は、精神障害などを抱える社員らが担う業務の拡大に力を入れる。郵便物仕分けや書面電子化、メッセージカード作成といった業務をグループ各社から受託しており、受託先は2025年度に前年度比5倍の108部署に増えた。

25年度からはグループ内の別会社への転籍を支援する仕組みも導入した。仲間美央社長は「能力と意欲のある社員が活躍し続けられる選択肢を用意しキャリア形成を支援したい」と話す。

アフラック生命保険の特例子会社「アフラック・ハートフル・サービス」では、顧客向け文書の封入といった従来業務に加え、ノベルティーグッズのデザインなどの新規事業を増やしている。社内向けカフェの出店も検討中という。

厚生労働省によると、企業に雇用される障害者の人数は25年に70万4610人と、22年連続で過去最高を更新した。一方、法定雇用率を達成できた企業は46.0%にとどまる。未達が続く東京都内の企業で労務を担当する男性は「(能力に応じた)業務の切り出しが難しい」と指摘する。

法定雇用率が段階的に引き上げられる中、雇用率を満たすために、障害者が働く場所を企業に提供する「障害者雇用ビジネス」の利用も増加している。ただ、一般社員と離れた場所で、本業との関わりが薄い業務に従事するなど「障害の有無にかかわらず共に働く」という理念には遠く、キャリア形成の面でも問題があるとされる。

今年2月に厚労省の有識者会議がまとめた報告書では障害者雇用の「質」の向上が課題とされ、同省の審議会で企業向けのガイドライン作成などの対応策について議論を進めている。

〔写真説明〕郵便物の仕分け業務に当たる野村かがやきの社員=6月29日、東京都江東区 〔写真説明〕デザイン業務に当たる野村かがやきの社員=6月29日、東京都江東区

2026年07月06日 14時34分


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