上野動物園(東京都台東区)が飼育する双子のジャイアントパンダの中国返還が15日、発表された。来年1月下旬、約半世紀ぶりに「ゼロパンダ」となる日本。同園付近では「寂しい」「いなくなる前に見たい」などの声が出る一方、「外交のことなので仕方ない」と冷静に話す人もいた。
年末を控え、買い物客らでごった返す台東区上野のアメ横商店街。水産品販売店の60代男性店主は「上野のシンボルがいなくなるのは寂しい」と声を落とす。居酒屋で働く30代男性は「日本からパンダがいなくなるのは悲しいが、外交のこともあるから仕方ない。日中関係が改善してまた来てほしい」と期待を込めた。
ナッツなどの専門店「アメ横小島屋」を営む小島和之会長(83)は「がっかりしても仕方ない。地域全体でパンダに頼らず頑張りたい」と力を込めた。かつお節などを販売する「伊勢音」を営む山崎好茂さん(82)も「昔のアメ横はパンダ一色だったが、今は訪日客も多く、店の魅力の方が重要。商店街の活気に影響はないのでは」と語った。
上野動物園は15日、休園日だった。同園前を3歳の娘と歩いていた30代女性は「パンダの観覧場所はいつも長蛇の列で見るのを諦めていた。いなくなる前に一度見せてあげたい」と話した。女の子は「いなくなる前に見たい」と母親に笑いかけていた。
2025年12月16日 07時53分
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