
92歳の誕生日を迎えた上皇さまは、心臓の持病で今年2度入院した後も、ハゼの分類に関する研究を週2回は皇居・生物学研究所(生研)で、週1回は仙洞御所で、これまでと同じペースで続けられている。コロナ禍の影響で、生研職員2人が対面とオンラインに分かれて対応していたが、7月ごろからは対面での研究に切り替えた。
側近によると、この1年はチチブ類の分類や行動、生態の再検証と、新たに1種追加された日本産クモハゼ類11種の分類学的再検討を継続。秋に神奈川県葉山町で静養した際は、御用邸脇の下山川で生研職員や研究者らがハゼを採集する様子を見学し、捕れたハゼを見ながら関係者と意見交換した。
上皇職御用掛の林公義さん(78)は「お若い頃と変わらず、決して妥協を許さず、鋭い質問が今も時々飛んでくる」と研究の様子を明かす。国立科学博物館主催の「魚類分類研究会」にもオンラインで参加。研究者らの話に耳を傾け、生研職員を通じて質問もしている。
林さんは「ご研究の時は、普通の研究者と全く変わらず、没頭されている時は良いお顔をされている。陛下(上皇さま)にとって、ご研究は生活の重要な一部。無理せず楽しんで続けられるようお支えしていきたい」と話している。
〔写真説明〕ハゼの研究のため皇居に入られる上皇さま=5月19日、皇居・半蔵門
〔写真説明〕林公義さん(左)と研究の打ち合わせをされる在位中の上皇さま=2018年7月26日、皇居・生物学研究所(宮内庁提供)
2025年12月23日 07時05分