天皇陛下の記者会見(全文)(2)



私たちは、お互いへの感謝と家族の絆(きずな)を感じながら、日々を過ごすことができることを幸いに感じています。愛子と3人で過ごす時間は、私たちの生活を和やかで楽しいものにしてくれるだけでなく、愛子が日々の生活の中で学び、経験する一つ一つのことが、親である私たちにとっても新たな学びへとつながっていると感じます。私たち家族は皆自然が好きで、特に雅子や愛子は生き物が好きですので、現在は2頭の猫を可愛がっていますし、須崎や那須での静養の折には、一緒に楽しく過ごすことができることも有り難く思います。毎年初夏には、雅子が取り組んでいる養蚕に、私と愛子も一緒に携わることも楽しみの一つになっています。最近は、3人でミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックの競技をテレビで観戦することもよくあります。

皆様には、これまでも雅子や愛子に温かいお気持ちを寄せていただいていることに、心から感謝しております。今後とも温かく見守っていただければ幸いに思います。

私のプライベートな時間の過ごし方については、日頃は、皇居内でジョギングをしたり、雅子と一緒に散策をしたりするなど、四季の移り変わりを感じながら、健康のための運動を行っています。散策の折には、皇居内の厩(きゅう)舎にいる馬や警察犬と触れ合ったり、最近は季節の梅の花を楽しんだりしています。

また、ビオラやバイオリンの練習を少しずつ続けていますが、昨年は、7月のモンゴル訪問中にモンゴル国立馬頭琴交響楽団の皆さんと一緒にビオラを演奏できたことは、私にとってもすばらしい思い出になりました。ビオラを始め、音楽からはいつも癒やしと力をもらっているように感じます。

「水」問題については、安全な飲み水や衛生の問題を始め、水上交通、さらには気候変動や水にまつわる自然災害などといった、国民生活や地球規模での課題に深く関わる問題など、様々な側面があると思います。そして、「水」問題への対応には、科学的な知見は元より、一人一人の努力や、人と人、国と国との協力が大切だと思います。

昨年7月には、「第7回国連水と災害に関する特別会合」に招待いただき、ビデオメッセージを送ることができました。また、モンゴル訪問中には、モンゴルにおける都市開発や水の問題についても学ぶ機会を得、理解を深めることができたのも有り難いことでした。

災害に対応しながら水の恩恵を享受することは、人類共通の歩みでもあり、各国の水を巡る問題を知ることは、それぞれの国の社会や文化を理解することにもつながります。今後とも、引き続き関心を持って、事情の許す範囲で「水」問題についての取組を続けていきたいと思っています。

―今の皇室についてお尋ねします。成年皇族として活動を始められた悠仁さまをどのようにご覧になっていますか。上皇さまは昨年2度入院されましたが、ご夫妻の体調への受け止めや最近のご様子についてお聞かせください。

悠仁親王は、昨年、成年式の諸行事をつつがなく終えることができました。立派に成長した姿を見て、うれしく思っています。小さい時から甥(おい)として成長を見守ってきましたが、近頃は、都内や地方への訪問であったり、外国の方々との交流であったり、皇室の一員としての務めを果たしてくれていることを頼もしく思っています。

悠仁親王には、大学生活を通して、様々な人と出会い、自身の将来をしっかりと見つめつつ、実り多い学生生活を送ってほしいと願っています。私自身の経験からも、大学時代にした勉学を含む様々な経験は、その後の人生にも、とても役立っていると感じます。悠仁親王には、今、この時にしかできないことを大切にしながら、これからも一つ一つの経験を積み重ね、人間的にも、また皇室の一員としても成長していってほしいと、見守っていきたいと思っています。

上皇上皇后両陛下には、私たちを変わらず温かくお見守りいただいていることに感謝申し上げます。昨年、戦後80年に当たって、各地への訪問を重ねた際には、これまで上皇上皇后両陛下が、どれほど先の大戦を重く受け止められ、何よりも平和を大切に思われながら心を砕いてこられてきたかを、改めて思いを深く致しました。

上皇陛下には、昨年7月に無症候性心筋虚血の治療のために入院されましたので御案じしておりましたが、その後は比較的安定した状態でお過ごしになっていると伺っております。昨年12月の上皇陛下のお誕生日や、雅子の誕生日、そして今年の正月と、両陛下にそろってお会いし、お健やかにお過ごしの御様子を拝見することができ、うれしく思っております。上皇上皇后両陛下が長年にわたって果たしてこられたお務めに、改めて深い敬意を覚えるとともに、これからも、くれぐれもお体を大切になさりながら、末永く健やかにお過ごしになりますよう、心から願っております。

―皇族数が減少をする中、秋篠宮さまは昨年の記者会見で「全体的な公的な活動の規模を縮小するしか、今はないのではないか」との認識を示されています。陛下は皇室全体の活動の在り方や皇室の役割、これまでも度々言及されている「時代に即した新しい公務」について、どのようにお考えでしょうか。

皇室の在り方や活動の基本は、国民の幸せを常に願い、国民と苦楽を共にすることだと思います。そして、時代の移り変わりや社会の変化も踏まえながら、状況に応じた務めを果たしていくことが大切であると思います。

このような中で、困難の中にある人々や、社会的に配慮を必要とする立場にある人々に心を寄せていくことが、ますます大切になっているように思われます。災害で被災された方々や障害のある方々、高齢の方々、困難な状況にある子供たちなど、様々な困難を抱えている方々の声に耳を傾け、そのような方々の幸せを願っていくことは、大切な務めと考えています。

世の中は、例えば少子高齢化や、気候変動、災害の激甚化・頻発化、コロナ禍に見られたような感染症の蔓(まん)延の危険性の高まり、AIなどに代表されるような新しい科学技術の発展を始め、様々な面で大きく変化してきていると思います。そのような世の中の現在の状況を過去の歴史も踏まえた上で理解し、さらには将来の姿を把握することにも努めながら、時代の風を的確に感じ取り、その時々にふさわしい公務の在り方を考えていくことが大切なのではないかと考えています。

―昨年は戦後80年にあたり、戦没者慰霊のために各地を訪問し、愛子さまも同行されました。この1年で心に残った出来事をお聞かせください。

昨年は戦後80年に当たり、雅子と共に、硫黄島と広島県を、また、愛子も一緒に3人で沖縄県、長崎県、東京都慰霊堂、昭和館を訪れました。先の大戦において、世界の各国で多くの尊い命が失われたことを大変痛ましく思います。今回、国内の各地を訪れて、亡くなられた方々に改めて深い哀悼の意を捧げました。それぞれの地で、戦災に遭われた方々や亡くなられた方々の御遺族、戦争の記憶を語り継ぐ活動をしている方々などのお話を伺いましたが、皆さんに語っていただいた一つ一つの記憶が、私たちの心に深く残っています。

また、昨年のモンゴル訪問時には、シベリア抑留でモンゴルに連れて来られ、当地で亡くなった方々を慰霊する、ウランバートル郊外にある日本人死亡者慰霊碑に供花し、故郷から遠く離れた地で亡くなられた方々を慰霊し、その御苦労に思いを馳(は)せました。

多くの方々が苦難の道を歩まざるを得なかった歴史に改めて思いを致し、戦中・戦後に人々が味わった悲惨な体験や苦労を、後の世代に伝えていくことが大切だと考えています。愛子にとっても、戦争の悲惨さや平和の尊さを改めて感じることができた1年だったのではないかと思います。戦争の記憶と平和の尊さを次の世代へ引き継いでいく役割を愛子にも担ってほしいと思っています。

これからも、各地で亡くなられた方々や、苦難の道を歩まれた方々に、心を寄せていきたいと思います。そして、終戦以来、人々のたゆみない努力により築き上げられた平和を今後とも永続的に守っていくため、過去の歴史から謙虚に学び、深い反省と共に、平和を守るために必要なことを考え、努力することが大切であると考えています。

2026年02月23日 00時14分

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