ナノテラスで電子状態の「顕微鏡」=情報処理装置開発などに利用へ―QST



量子科学技術研究開発機構(QST)と東北大の研究チームは12日までに、高輝度放射光施設「ナノテラス」(仙台市)のX線実験装置を工夫し、電子の状態を高精細に観察できる特殊な「顕微鏡」を開発したと発表した。国内外の研究者に利用され、次世代の情報処理装置や超伝導磁石などの開発に役立つと期待される。

ナノテラスは巨大な加速器により、物質の化学結合や磁性を担う電子の状態を調べるのに適した軟X線を発生させる。電子のエネルギーのわずかな差を検出する性能で世界最高の実験装置「2D―RIXS(共鳴非弾性X線散乱)」を開発し、昨年3月から利用されているが、調べたい試料全体の平均的な情報しか得られなかった。

しかし、試料は不純物が含まれていたり、意図的にさまざまな元素を微量添加したりして内部が不均一で、微細な分布が物質の性質を大きく左右する。

そこでQSTの山本航平研究員や東北大の鈴木博人助教らは電子のエネルギー検出に使う「回折格子」と試料内部の空間情報を捉える「イメージングミラー」を工夫して最適化。1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の位置の違いでも、エネルギーの高低差が分かるようにした。

QSTの宮脇淳主幹研究員は「世界最高水準のエネルギー分解能と空間分解能を両立させた世界初の『顕微鏡』だ」と話している。

〔写真説明〕量子科学技術研究開発機構(QST)の宮脇淳主幹研究員(左)と山本航平研究員。放射光施設「ナノテラス」のX線実験装置を工夫し、電子状態を高精細に観察できる「顕微鏡」を開発したと発表した=5日、文部科学省

2026年03月12日 15時27分


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