「水害は人災だった」=夫失った原告女性―西日本豪雨訴訟



西日本豪雨の際、野村ダム(愛媛県西予市)の緊急放流による水害で夫=当時(59)=を亡くした原告の入江須美さん(58)が判決を前に取材に応じた。「水害は人災だった。二度と起きないようにしてほしい」と訴えた。

西予市に住んでいた入江さんは2018年7月7日午前5時ごろ、「肱川が危険水位に達したので避難してください」と呼び掛ける市の放送を聞いた。川の様子を見に行ったが、実際の水位は低く大丈夫だと思い、夫を家に残して同6時ごろに車で職場に向かった。

しかし、道中で土砂崩れに遭遇。近くの駐車場に車を止めて夫に電話をかけたが、「避難、避難」という言葉を最後に連絡が途絶えた。引き返すと街は浸水しており、水が引き始めた同9時ごろ、田んぼの上にあった車の中から夫が見つかり、死亡が確認された。避難しようと車に乗り込み、濁流にのみ込まれたとみられる。

自宅は流され、跡形もなくなっていた。報道で浸水はダムの放流によるものだと知り、「ダムは洪水を防ぎ、流域住民を守ってくれるはずだった。そのダムの水でなぜ人が死んだのか」と疑問が湧き、原告に加わった。

提訴から6年がたつ。裁判で原告側は、ダムが大規模洪水に対応できない操作規則に変更されていたことや、市が緊急放流前に十分な避難情報を周知しなかった可能性があったことを主張した。入江さんは「操作規則が変更されず、住民にもっと切迫感のある避難情報が伝えられていたら、夫と一緒に逃げたかもしれない。これは人災ではないのか」と訴える。

判決を前に「私たちが主張してきたことは間違いじゃない。ダムによる人災が二度と起きないような判決にしてほしい」と期待を込めた。

〔写真説明〕西日本豪雨訴訟の松山地裁判決を前に、取材に応じる原告の入江須美さん=2月28日、愛媛県大洲市

2026年03月17日 07時04分


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