
高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)の「量子場計測システム国際拠点(QUP)」の新拠点長に昨年12月就任した東俊行氏(65)が16日までに取材に応じた。超伝導式の量子コンピューターに似た装置など、高性能なセンサーの技術開発を通じ、謎の暗黒物質などの解明に取り組む考えを明らかにした。
高エネ研には電子と陽電子をほぼ光速で衝突させる巨大な「スーパーKEKB」加速器がある。QUPは未知の粒子や物理現象による微弱な信号をセンサーで検出する手法を取るが、検出の仕組みやセンサーを極低温に冷却する技術にはこれまでの開発成果が生かされているという。
暗黒物質は宇宙の質量の4分の1を占め、正体が分かっていない。暗黒物質に由来する電磁波を超伝導式量子コンピューターに似た装置で捉えるほか、暗黒物質により電気抵抗がゼロの超伝導状態やダイヤモンド結晶中の量子状態が変化する現象の検出を目指している。
宇宙誕生時に現在ある物質と同じだけ存在したが、その後ほとんど消えた「反物質」や、ブラックホール同士の合体などで生じる重力波も研究対象。東氏は「未知の粒子や物理現象をオリジナルのアイデアで、QUPで作った検出器で見つけたい」と話した。
QUPは文部科学省の世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)で国内18カ所に設置された拠点の一つ。2021年12月の発足時は、宇宙は誕生時に急膨張したという理論を検証する天文衛星のセンサー開発が主な目標だった。しかし、衛星計画の変更で仕切り直しとなり、原子分子光物理学を専門とする理化学研究所主任研究員の東氏が新拠点長に迎えられた。
〔写真説明〕高エネルギー加速器研究機構「量子場計測システム国際拠点」の東俊行・新拠点長(右)=14日、茨城県つくば市
2026年03月17日 07時05分