
大事な試合での悔しさを、新たな一歩につなげられるか。7月にジョージアのトビリシで行われたフェンシングの世界選手権。女子サーブル個人で3連覇を目指した江村美咲(立飛ホールディングス)は3回戦で敗れた。金メダルが期待された昨年のパリ五輪に続く不本意な敗戦。試合直後は涙があふれ、「何が悪かったのか、今後どうしていくのがいいか分からない」と語った。
後に冷静に振り返ると、反省点が浮かび上がった。一つ目はコンディション面。「年々、後半がつらくなってきている。最後までエネルギーが持たない」。フェンシングのシーズンは毎年秋に始まり、翌年夏まで世界各地を転戦する。10代からタフな遠征を続けてきた江村も、今年11月で27歳。「それが当たり前だと思ってきたが、少しオーバーワークになっていた」
体が万全でなければ、精神面でもどっしりと構えて戦うのは難しい。「純粋に勝ちたい気持ちで挑めていなかった」。国際大会で何度も優勝しているにもかかわらず、自分の力を信じられない。真面目さゆえの「常に謙虚に、挑戦者で」という意識も、自信を失う方向に作用。心身の揺らぎが、ピスト上での剣さばきを鈍らせた。
世界選手権は早期敗退に終わったものの、2024~25年シーズン最終ランキングで「年間王者」に初めて輝くなど、また一つ勲章を増やした日本のエース。今季は疲労をためないことを狙い、練習量を抑え、最初の国際大会を欠場した。じっくりと調整し、来年7月の世界選手権にピークを合わせてタイトル奪還を目指す。「大舞台で、誇りを持って戦えたと思える試合がしたい」。シーズンを笑顔で締めくくるため、試行錯誤しながら歩んでいく。
【時事通信社】
〔写真説明〕フェンシング世界選手権の女子サーブル個人の試合に臨む江村美咲=7月27日、トビリシ
〔写真説明〕フェンシングの世界選手権の女子サーブル団体3位決定戦に臨む江村美咲(左)=7月30日、トビリシ(EPA時事)
〔写真説明〕女子サーブル個人年間王者となり、国際フェンシング連盟の表彰を受けた江村美咲=11月、マナマ(日本フェンシング協会提供)
2025年12月11日 07時11分