【カイロ時事】イエメンの親イラン武装組織フーシ派が、イエメン沖の紅海で6日から立て続けに貨物船を襲撃し、今年に入り控えていた商船攻撃を再開した。フーシ派は10日の声明で、イスラエルがパレスチナ自治区ガザへの攻撃を続ける限り「作戦を続ける」と表明。連帯するイスラム組織ハマスとイスラエルの停戦交渉が続く中、イスラエルに圧力をかける狙いがあるとみられる。
ロイター通信などによると、フーシ派は6日、貨物船「マジック・シーズ」を攻撃。乗組員22人は全員救助されたが、船は沈没した。フーシ派は翌7日にも貨物船「エタニティーC」を襲撃し、同船は9日に沈没。10人が救出され、4人が死亡したとみられる。
フーシ派はエタニティーCに関し「乗組員を救助し、安全な場所に移送した」と主張した。乗組員6人が拘束されているとの情報もある。
フーシ派は、2023年10月に始まったガザでの衝突を受け、イスラエル本土へのミサイル攻撃を開始。同年11月からイスラエルに関連すると見なした船舶への襲撃に乗り出し、24年12月までに100隻以上を標的にしたとされる。今回攻撃を受けた2隻はいずれもギリシャ企業が運航するリベリア船籍の船だが、関連する船が過去にイスラエルに寄港していたと指摘されている。
トランプ米政権は5月、フーシ派が紅海周辺での船舶攻撃をやめる引き換えに、同派に対する空爆を停止することで合意した。ただ、フーシ派指導者アブデルマリク・フーシ氏は7月10日、「紅海、アデン湾、アラビア海での(イスラエルと関係する船舶の)航行禁止は継続中で、解除したことはない」と主張した。イスラエルとフーシ派の散発的な交戦が続く中、報道によると、イスラエルは米国に空爆再開を要請した。
【時事通信社】
〔写真説明〕イエメン沖の紅海で沈没する貨物船「エタニティーC」=親イラン武装組織フーシ派が9日に公開した動画より(EPA時事)
2025年07月11日 20時31分