ウクライナ武器供給で迷走=米政権、不透明な意思決定



【ワシントン時事】トランプ米政権がロシアの侵攻を受けるウクライナへの武器供給を一時停止した後に再開した。ロシアに不満を募らせるトランプ大統領は供給再開を命じる一方、停止の決定には関与しなかったことを示唆。政権の不透明な意思決定を印象付ける結果となった。

トランプ氏は8日の閣議で、記者団に「誰が武器供給停止を命じたのか」と問われ、「分からない。なんであなたは教えてくれないのか」と答えた。

トランプ政権は今月初旬、防空システム「パトリオット」用ミサイルや弾薬などの供給を備蓄不足を理由に停止した。国防総省は「大統領の米国第一の政策を推進するためだ」と説明していた。

しかし、トランプ氏は7日に「もっと武器を送るつもりだ。彼ら(ウクライナ)は自衛の能力を持たなければならない」と強調。国防総省は直後に武器供給の再開を表明した。

CNNテレビは、ヘグセス国防長官が供給停止をホワイトハウスに報告しなかったことで混乱が生じたと報じた。トランプ氏のほか、大統領補佐官(国家安全保障担当)を兼任するルビオ国務長官、ケロッグ特使(ウクライナ担当)らも知らされなかったという。

複数の米メディアの報道によると、供給停止は中国への対応を重視しウクライナ支援に否定的なコルビー国防次官(政策担当)が主導し、ヘグセス氏が承認した。米政治専門紙ポリティコは「欧州の同盟各国は、トランプ政権の最近のウクライナ政策の転換と国防総省の意思決定の混乱ぶりに衝撃を受けている」と伝えた。

【時事通信社】 〔写真説明〕8日、米ホワイトハウスで行われた閣議に出席するトランプ大統領(左)とヘグセス国防長官(AFP時事)

2025年07月11日 12時39分


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