台湾問題、日中関係に影=外交部長来日で中国反発



台湾外交部長(外相)の来日が日中関係に影を落としている。中国政府は日中農相会談を直前になってキャンセル。今後の日中間のハイレベル対話にも影響が出そうだ。

「双方の日程上の都合が合わず、実施されなかったと承知している」。日中農相会談が流れた理由について、林芳正官房長官は15日の記者会見でこう述べるにとどめた。

11日の韓国での日中韓農相会合後に、中国の韓俊農業農村相が来日して、小泉進次郎農林水産相と12日に会談する方向で調整していた。

日本政府内では、7月下旬の林佳竜外交部長の来日が中止の理由と受け止められている。台湾側は「私的な旅程」と説明しているが、林外交部長は日本滞在中に日華議員懇談会会長を務める自民党の古屋圭司元国家公安委員長らと面会した。

日中関係を巡っては、米中対立の深刻化を背景に中国側が日本との関係改善を推進。昨秋、中国が日本人向け短期ビザ(査証)の免除を再開し、今年6月には日本産水産物の輸入再開を発表するなど融和ムードが広がっていた。

抗日戦勝80周年を迎えた中国政府は、日本政府の歴史認識や台湾問題に敏感になっており、外務省幹部は「台湾の動向次第で強い対応を取らざるを得ないのだろう」と分析する。10月の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議などに合わせて想定されるハイレベル対話に影響する可能性もある。

【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見する林芳正官房長官=15日午前、首相官邸

2025年08月16日 07時11分


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