イスラエル財務相「西岸の8割併合を」=パレスチナ反発、UAEも撤回要求



イスラエル極右政党党首のスモトリッチ財務相は3日、エルサレムで記者会見し、占領地ヨルダン川西岸の大部分を併合すべきだとの考えを改めて表明した。スモトリッチ氏は国防省が製作した地図を示し、西岸の82%にイスラエルの主権を適用すべきだと主張した。AFP通信などが報じた。

スモトリッチ氏の発言は、今月の国連総会に合わせてフランスや英国などが相次ぎパレスチナを国家承認する意向を示したことに対抗する意図があるとみられる。同氏は「最小限の(パレスチナ)人口で、最大限の土地(をイスラエルが獲得する)というのがスローガンだ」と強調した。ただ、ロイター通信によれば、ネタニヤフ首相がこの計画を支持するかは明らかでない。

これに対し、パレスチナ自治政府は「過激主義者スモトリッチが表明した西岸併合などに関する声明を最も強い言葉で非難する」と反発した。パレスチナ側は西岸を将来の国土と見なしており、イスラエルが大規模な併合に踏み出せば、「パレスチナ国家」樹立が事実上不可能になるためだ。

2020年にイスラエルと国交正常化したアラブ首長国連邦(UAE)の高官は3日、AFPの取材に対し、西岸併合は「レッドライン(越えてはならない一線)だ」と批判した。UAEは正常化に際して、イスラエルが西岸併合を凍結することを条件としていた。

UAE高官は「イスラエルが検討する西岸の併合は、パレスチナ国家という考え方を葬り去ることになる」と訴え、計画撤回を要求した。

【時事通信社】 〔写真説明〕イスラエルのスモトリッチ財務相=8月14日、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地マアレアドミム近郊(AFP時事)

2025年09月05日 12時30分


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