1995年、沖縄県で米兵による少女暴行事件に抗議し、主催者発表で8万5000人が集まった「県民総決起大会」から21日で30年となる。抗議運動は日米両政府を動かし、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の返還合意にもつながったが、米兵らによる事件は今も後を絶たない。当時の参加者は「何も変わっていない」と諦めの表情を見せる。
事件は95年9月4日、本島北部で発生。米海兵隊員3人が女子小学生を拉致し、性的暴行を加えた。日米地位協定を理由に米側が身柄引き渡しを拒否したことから県民の怒りは高まり、総決起大会には大田昌秀知事(当時)も参加した。反基地感情の激化を懸念した日米両政府は大会直後の同年10月25日、米側の「好意的考慮」で起訴前の身柄引き渡しを可能とする協定の運用改善で一致し、翌年には普天間飛行場の返還でも合意した。
ただ、その後も米兵らによる暴行事件は続発し、2016年には米軍属の男による女性殺害事件が発生。23年12月に少女が米空軍の男に誘拐されて性的暴行を受けた事件が発生した際は、県に通知されなかったことも問題視された。
県議として総決起大会の壇上に立った糸数慶子さん(78)は「県民にとって許し難いことが現在も次々と起きている。日米両政府は沖縄をどう見ているのか」と憤る。「これまで幾度となく対策が打ち出されてきたが、何も変わっていない。やっているように見せ掛ける『アドバルーン』のようなものだ」と批判した。
【時事通信社】
〔写真説明〕米兵の少女暴行事件に抗議する「沖縄県民総決起大会」であいさつする大田昌秀沖縄県知事(肩書は当時)=1995年10月21日、沖縄県宜野湾市
〔写真説明〕米兵の少女暴行事件に抗議して開かれた「沖縄県民総決起大会」=1995年10月21日、沖縄県宜野湾市
2025年10月21日 07時04分