特殊詐欺トップら３人逮捕＝カンボジア拠点、被害額５０億円―暴力団と中国犯罪組織協力か・警視庁
警察官などを装った特殊詐欺に関与したとして、警視庁特別捜査課は１７日までに、組織犯罪処罰法違反（組織的詐欺）容疑で、グループトップとみられる中国籍の会社員銭凌容疑者（３８）＝東京都江東区辰巳＝ら２人を再逮捕した。また詐取金の一部を隠したなどとして、同法違反（犯罪収益隠匿）容疑などで、メンバーとみられる中国籍の職業不詳盧※（※王ヘンに路）容疑者（３６）＝中央区勝どき＝を逮捕した。いずれの認否も明らかにしていない。
同課はグループが少なくとも１月までの半年間で、約５００件の特殊詐欺に関与し、被害額は約５０億円に上るとみている。銭容疑者は中国系の犯罪組織と関係があるとみられるほか、うその電話をかけるかけ子集めなどに指定暴力団住吉会系組員が関与していた疑いがあり、同課は中国組織と暴力団が協力していたとみて、実態解明を進める。
ほかに再逮捕されたのは、かけ子の管理などをしていた住所不定、無職宮代祥平容疑者（３１）。
捜査関係者によると、銭容疑者らは出資者から募った資金で、カンボジアに拠点を開設。２０２３年ごろから現地で活動し、詐取金は一時期約３０人いたかけ子らへの報酬や出資者への再分配に充てていたとみられる。
同課によると、盧容疑者はメンバーに指示し、グループが詐取した現金を使って、日本で不動産購入を希望する中国人の代わりに不動産会社に手付金を入金。その後、中国元で１０００万円相当を返還してもらう手法でマネーロンダリング（資金洗浄）していたとみられる。
銭容疑者らの再逮捕容疑はメンバーと共謀し、２３年９～１２月ごろ、「警察であなたを主犯格として捜査している」などとうその電話をかけ、口座を開設させた上で、いずれも６０代の、宮城県の男性から現金２９０万円、静岡県の女性から１００万円相当の暗号資産を詐取した疑い。
盧容疑者の逮捕容疑は、銭容疑者らと共謀し、同年１０～１１月ごろ、うその電話で沖縄県の男性＝当時（７５）＝に振り込ませた現金約３２００万円のうち、１０００万円を不動産会社に振り込むなどした疑い。
【時事通信社】
〔写真説明〕再逮捕された銭凌容疑者（中央）＝１６日午前、東京都江東区
〔写真説明〕逮捕された盧※（※王ヘンに路）容疑者＝１５日午後、東京都台東区
2025年10月17日 12時01分
