
2019年10月の火災で焼失した首里城正殿(那覇市)は外観の復元工事が7月にほぼ完了し、朱色に塗られた壮大な建物の姿があらわになった。「沖縄の象徴」とも言える木造宮殿の復元に向けては、この6年間で国内外から多額の寄付が集まった。来秋の完成に向け、内部の塗装や装飾などが進められている。
県によると、火災直後から学生らによる街頭募金活動が行われたほか、海外の沖縄県人会など国内外から多くの寄付が集まった。県への寄付金約61億円(9月末現在)は、正殿に取り付ける装飾作製や、伝統建築に関わる人材育成などに充てられた。
火災やコロナ禍で落ち込んだ首里城公園の入園者数も回復傾向にあり、県は受け入れ環境整備に着手。周辺の混雑緩和のため、オンラインで購入できる時間制チケットの導入を決定したほか、伝統的な街並みが残る周辺地域への誘客を狙ったデジタルマップ作成にも取り組む。
玉城デニー知事は、火災から6年を迎えるのを前に、首里城は「沖縄や琉球王国の歴史と不可分の象徴、存在」と強調。「周辺一帯が、琉球文化と歴史に触れられる場所になってほしい」と述べた。
火災は19年10月31日未明に発生。正殿のほか、北殿や南殿など9棟が焼失した。正殿の復元工事は22年11月に始まり、風雨から正殿を守る「素屋根」が今月、撤去された。正殿以外の全体の復元終了時期は未定という。
【時事通信社】
〔写真説明〕外観の復元が完了し、姿があらわになった首里城正殿=31日午前、那覇市
〔写真説明〕外観の復元が完了し、姿があらわになった首里城正殿=31日午前、那覇市
2025年10月31日 14時31分