
会計検査院(原田祐平院長)は5日、2024年度の決算検査報告書を高市早苗首相に提出した。税金の無駄遣いを指摘するなどした事業は319件、金額は計約540億8100万円だった。件数、金額いずれも前年度を下回った。このうち法令違反や不適切な予算執行の「不当事項」は271件で、86億円を超えた。
新型コロナウイルス関連施策の検査に重点が置かれた前年度に比べ、24年度は国民生活の安全性確保や防衛、デジタルなど対象分野は多岐にわたった。原田院長は報告書提出に際し、「国の財政健全化が課題となっている中、国民の税金を原資としている行財政活動全般について引き続き厳正かつ公正に検査を行う」と強調した。
1件当たりの指摘金額は、経済産業省に対する約203億6500万円が最も多かった。東日本大震災で被災した中小企業の資金繰り支援のため、同省外局の中小企業庁が全国信用保証協会連合会に交付した補助金を巡り、約203億円が有効に活用されていないと指摘した。
省庁別でも同省の約220億5800万円が最も多く、厚生労働省の約37億5200万円、国土交通省の約19億6300万円が続いた。
この他、土砂災害を及ぼすリスクのある高速道路脇の「道路区域外の危険箇所」が290カ所あり、高速道路3社に危険防止措置を講じるよう要求。サイバーセキュリティーに対する脅威が深刻化している中、12行政機関の58情報システムで脆弱(ぜいじゃく)性対策が取られていなかったとして改善を求めた事案などがあった。
【時事通信社】
〔写真説明〕原田祐平会計検査院長(左)から2024年度の決算検査報告書を受け取る高市早苗首相=5日午後、首相官邸
2025年11月05日 18時55分