
【バンコク時事】タイとカンボジアの国境紛争を巡り、東南アジア諸国連合(ASEAN)は22日、議長国マレーシアの首都クアラルンプールで臨時外相会合を開く。今月に戦闘が本格的に再燃して以降、タイとカンボジアの外相が初めて顔を合わせる場となり、戦闘停止に向けて道筋を付けられるかが焦点となる。
会合にはタイのシーハサック外相、カンボジアのプラク・ソコン副首相兼外相が出席する予定。マレーシアのアンワル首相は17日、「まず戦闘を停止し、中長期的な視点から解決を目指したい」と述べ、ASEANとして停戦を要請する考えを示した。見通しについては「慎重ではあるが楽観的だ」と語った。
タイとカンボジアは7月、未画定の国境地帯で武力衝突。その後、米国や中国などの仲介で停戦を受け入れ、10月26日にトランプ米大統領の立ち会いの下で和平合意を締結した。
しかし、タイは11月10日に地雷で兵士が負傷したことを理由に合意の履行停止を表明。今月8日には「カンボジア軍による攻撃」への報復措置として、タイ軍がカンボジア領内を空爆し、戦闘が再び激化した。8日以降にタイでは少なくとも21人、カンボジアでは19人が死亡し、AFP通信によると、50万人以上が避難を余儀なくされている。
戦闘再燃を受け、米国と中国も事態収拾に動いた。中国外務省によると、王毅共産党政治局員兼外相は18日、タイ、カンボジア側とそれぞれ電話会談し、「(戦闘)継続は双方にとって無益であり、ASEANの結束にも悪影響を及ぼす」と伝えた。ルビオ米国務長官も19日、シーハサック氏と電話会談。ロイター通信は、ルビオ氏が事態沈静化と停戦を求めたと報じた。
停戦に関し、タイは「カンボジア側が攻撃を開始したため、先に停戦を公式に発表しなければならない」と主張。一方、カンボジアは「タイが直ちに敵対的行動を停止し、軍を撤退させる必要がある」と反発しており、外相会合で歩み寄りがみられるかは予断を許さない状況だ。
【時事通信社】
〔写真説明〕20日、タイ軍の空爆で破壊されたカンボジア北西部の橋(AFP時事)
2025年12月22日 08時02分