ミャンマー総選挙、28日に第1段階投票=内戦下、民主派は排除―国連は「暴力と抑圧」非難



【ヤンゴン時事】ミャンマー軍事政権が主導する総選挙の「第1段階」投票が28日行われる。2021年のクーデターで実権を握った軍政は選挙を通じて「民政移管」を内外にアピールする構えだが、民主派の主要政党は事実上排除されている。国軍と民主派や少数民族武装勢力との間の内戦状態も続いており、国連は「選挙は明らかに暴力と抑圧の環境下で行われる」(ターク人権高等弁務官)と非難している。

総選挙では上下両院(定数計664)のうち、軍人に割り当てられる166議席を除いた498議席が改選される。投票は3回に分けられ、第1段階は全国330郡区のうち102郡区で実施。第2段階は来年1月11日、第3段階は同月25日に実施される。治安上などの理由で一部の郡区では投票が行われない。

20年の前回総選挙で大勝した民主化指導者アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)は23年に解党された。スーチー氏もクーデター以降、拘束されたままだ。

人権団体「政治犯支援協会」によると、クーデター後、3万人以上が政治犯として拘束された。総選挙に向け、軍政は批判や抗議を禁止する選挙保護法を制定し、市民への締め付けを強化している。ターク氏は「軍政は投票を強いるために暴力を用いたり、異論を唱える人を拘束したりすることをやめなければならない」と訴えた。

一方、国営紙などによると、軍政はベラルーシ、カザフスタン、タイなどから選挙監視団を受け入れる。「開かれた選挙」を印象付ける思惑があるとみられるが、軍政に融和的な国が多い。

選挙監視団を巡っては、軍政が東南アジア諸国連合(ASEAN)に派遣を要請し、10月にマレーシアで開かれたASEAN関連首脳会議で協議。しかし、派遣すれば軍政の正統性を認めることにつながりかねないとして、加盟国の中で意見が分かれ、ASEANとしての派遣は見送られた経緯がある。

ASEAN加盟国ではタイが隣国ミャンマーの安定化を望んでおり、歩み寄りの姿勢を見せる。タイのシーハサック外相は今月、ミャンマーを訪問し、国軍トップのミンアウンフライン総司令官と面会した。

【時事通信社】 〔写真説明〕26日、ミャンマー最大都市ヤンゴンに設置された総選挙への参加を促すポスター 〔写真説明〕有権者名簿を確認する市民ら=27日、ミャンマー・ヤンゴン 〔写真説明〕選挙の準備が進められている投票所=27日、ミャンマー・ヤンゴン

2025年12月28日 07時11分


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