
【イスタンブール時事】イラン各地で続く反体制デモでは、治安部隊が実弾を発砲するなど苛烈な弾圧を行ったと伝えられている。インターネットが遮断された情報統制下で、全容把握は難しい。だが、イラン国内からの証言を集めたとされる報道や情報では、かつてない規模の人的被害が出た恐れが指摘され、国際社会から強い反発を招いている。
「(治安部隊は)デモ隊の列を銃撃し、人々がその場で倒れ込んだ。われわれは丸腰で残忍な体制と戦っている」。イラン南部に住む40代男性は英BBC放送ペルシャ語版に、自ら目撃したとする弾圧の様子を明かした。
BBCによれば、首都テヘランに暮らす女性も、今月8日には「テヘランでは普段は人が少ない場所までデモ参加者であふれていた」と証言。しかし翌9日になると取り締まりが激化し、「治安部隊はとにかく殺害を繰り返していた。それを目の当たりにして気分が悪くなり、心が折れた」と話した。9日以降、市民はデモに繰り出すのを怖がるようになったという。
イランの最高指導者ハメネイ師は9日に「破壊行為を行う者たちには屈しない」と演説し、デモの徹底鎮圧を強調した。同師の意向に沿って当局の弾圧が強化された可能性もある。
死者は数千人規模に達するとみられ、信ぴょう性は不明だが、国外に拠点を置く反体制派メディアは少なくとも1万2000人と伝えている。米拠点の「イラン人権センター」は、テヘランからデモのさなかに国外へ逃れたとされる医師の証言を紹介。医師は、至近距離からの銃弾が体を貫通した負傷者が多く、「治安部隊は責任追及の対象にならないと言われ、殺害もいとわず、あらゆる手段で鎮圧を図ったのだろう」と語った。
イランのアラグチ外相は12日、「治安当局が状況を制御している」と述べ、デモは沈静化に向かっていると主張した。米CNNテレビは複数のテヘラン市民の証言として、12日はそれまでよりもデモの規模が小さかったと報道。米シンクタンクの戦争研究所は12日付で「イラン指導部はデモを体制安定に対する大きな脅威と受け止め続けている」と分析する一方、「残虐な弾圧でデモの勢いが落ちている可能性もある」としている。
【時事通信社】
〔写真説明〕イラン北東部マシャドで発生した衝突とされる映像の一コマ=10日投稿のSNSより(AFP時事)
2026年01月15日 12時34分