国内最大規模の違法スカウトグループ「ナチュラル」は警察を「ウイルス」と呼んで警戒し、厳しい規律でメンバーを統制して組織を急成長させた。暴力団と関係を築き、全国の風俗店に女性をあっせんしては、年間約45億円に上る巨額の売り上げを得ていた。
捜査関係者によると、ナチュラルは「プレーヤー」と呼ばれるスカウトに、路上やSNSで女性を探させるだけでなく、風俗店との面接の打ち合わせなど細かな点まで調整させていた。規約を守らないスカウトには罰金や制裁を科す一方、勧誘実績に応じて「ダイヤモンド」「プラチナ」などとランク分けして競わせ、売り上げを拡大した。
勤務状況や派遣先の風俗店は独自のアプリで管理。これを使うスカウトには源氏名で登録させ、外部から素性を分かりにくくしていた。メンバー間のやりとりにもアプリを使っており、警視庁幹部は「組織の屋台骨はアプリだった」と指摘する。
グループは企業のような形態で組織を運営し、トップの小畑寛昭容疑者(40)を「会長」と呼称。警察に摘発されたときの受け答え方法などをスカウトに指導する「ウイルス対策課」、派遣先の風俗店を開拓する「契約課」、アプリを管理する「アプリ課」などを設け、組織を動かしていた。
繁華街で活発に活動するナチュラルの存在が明るみに出たのは2020年、グループメンバーが指定暴力団住吉会系組員らと歌舞伎町で起こした乱闘事件だった。同庁は通称「木山兄弟」と呼ばれる実の3人兄弟の長男小畑容疑者の存在を把握。約5年かけ、実態解明を進めてきた。
ナチュラルはこの事件をきっかけに、対立を辞さなかった暴力団との付き合い方を再考し、住吉会側が提示した和解金の支払いなどの和解条件を受け入れた。一方、スカウトなどの活動は継続。小畑容疑者らは、各地の繁華街を縄張りとする暴力団と協力関係を結び、組織拡大を続けた。
発足から10年余りで、資金力などを背景に暴力団と対等な関係を築き上げるまでに成長したナチュラル。同庁幹部は「存在を初めて知った時の衝撃はすごかった。われわれが見えないところで、大きくなってしまっていた」と明かした。
【時事通信社】
2026年01月27日 14時36分
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