自・維激突「冬の陣」=公明6万票の行方焦点―衆院大阪5区ルポ【注目区を行く】



自民党と日本維新の会が連立政権を組んで初めて行われる衆院選では、維新の牙城・大阪の全19選挙区で両党候補が激突する。大阪市北西部に位置する大阪5区は、公明党が前回小選挙区で得た約6万6000票の行方が焦点。府知事・市長選と同日選となった「冬の陣」は与党の同士討ちとなり、明確な対立軸が見えづらい。(敬称略)

◇ダブル選が影

「自民を後押しし、場合によっては蹴飛ばすかもしれない。それでも国民のためにアクセルを踏むのが維新だ」。公示日の1月27日、維新前職の梅村聡は塚本駅前で訴えた。自身が党税制調査会長として関わる食料品消費税率ゼロや社会保険料引き下げといった公約に触れ、与党の「政策実現力」をアピールする。

維新は2024年の前回選は大阪の小選挙区で全勝し、圧倒的な強さを見せつけた。今回は、地方議員が国民健康保険料の支払いを回避していた「国保逃れ」問題が逆風。大阪5区は大阪・関西万博の会場があった夢洲を含む。万博を巡っては海外パビリオンの工事費未払い問題への批判が根強い。

さらに、党代表の吉村洋文が府知事を辞職し、市長選との「ダブル選」に踏み切ったことへの有権者の反感も懸念材料だ。大義に掲げる「大阪都」構想は過去2度の住民投票で否決された。梅村が都構想に積極的に言及する場面は少ない。

マイクを握る梅村の傍らで、ビラの受け取りを拒んだ女性がつぶやいた。「都構想はもう終わったんよ」

◇高市派

「私は『高市派』です」「『高市自民党』の歩みを止めないで」。元職の杉田水脈は首相の高市早苗との近さを訴えるが、街頭で足を止める有権者は少ない。24年の自民総裁選で高市の推薦人となり、保守的な政治信条も重なる。「高市派」の言葉は杉田本人が考案したといい、選挙カーやポスター、ビラに躍るが、手応えは薄い。

もともと公明が強固な地盤を持つ選挙区で、自民の公認候補擁立は1996年以来30年ぶりだ。選挙区内の自民の地方議員は市議が2人だけで府議はいない。陣営には地域事情に精通した人材も乏しい。

「これが本当に自民党の選挙なのか」。公示直前に府外から投入された党関係者は、選挙対策の組織体制が全く整っていない現場を目の当たりにして驚いた。

杉田は神戸市生まれ。地縁のない落下傘候補で知名度を欠く。陣営幹部は杉田が過去に差別的言動で批判を浴びた経緯に触れながら「『悪名は無名に勝る』と期待したが、そこにも至っていない」と残念がった。

◇「選挙区は白票」

公明と立憲民主党が結成した中道改革連合は準備が間に合わず不戦敗となった。前回公明から出馬して次点だった元職・国重徹は選挙区から撤退し、中道公認の比例代表候補となった。

公明は選挙区で事実上の「自主投票」となる。維新は前回戦った公明からの流入は見込めないとみる。杉田は、公明が得意としてきた子育て支援や福祉政策も手厚く訴えて取り込みを図る。連合関係者は「選挙区は白票、比例は中道に入れる人が多いのではないか」と推測する。

自民、維新が「与党過半数」の議席確保を目標に掲げる中、両党が選挙区で争う構図に両陣営とも困惑を隠さない。杉田陣営の幹部は「違いを打ち出せない」と認め、維新幹部も「次回以降はすみ分けを検討すべきだ」と指摘した。

れいわ新選組共同代表で前職の大石晃子も前回に続き立候補し、27日の第一声で「首相をぶっ倒すしかない」と息巻いた。選挙直前に党代表の山本太郎が健康問題を理由に参院議員を辞職。代わりにテレビ討論会などに出席して名前を売るが「山本不在」の影響は計り知れない。陣営関係者は「党にとって試練の時だ」と顔を曇らせた。

国民民主党の前田英倫、参政党の松山恵子、共産党の湊隆介の3新人も挑む。



◇衆院大阪5区立候補者 梅村



聡(50)医師









維新



前職(1) 大石

晃子(48)党共同代表



れいわ

前職(2) 前田

英倫(51)弁護士







国民



新人 松山

恵子(52)パート従業員

参政



新人 湊



隆介(42)党地区委員



共産



新人 杉田

水脈(58)元総務政務官

自民



元職(3) (注)敬称略、届け出順。年齢は投開票日現在。丸囲み数字は当選回数。

【時事通信社】 〔写真説明〕衆院選大阪5区の選挙ポスター=1月28日、大阪市東淀川区 〔写真説明〕衆院選の街頭演説を聞く有権者ら=1月27日、大阪市淀川区

2026年02月02日 07時02分


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