
【カイロ時事】米国と共に対イラン大規模軍事作戦を続けるイスラエルは、同国にとっての「存亡の脅威」の排除を徹底する方針だ。ただ、作戦が長期化するにつれ、米国が一定程度の戦果で矛を収め、作戦停止に動くのではないかとの観測も浮上。ネタニヤフ首相は、トランプ米大統領の「変心」への警戒を強めているもようだ。
イスラエルのメディアは4日、米政権高官が停戦を巡りイランと接触したとの情報がイスラエル政府にもたらされ、驚いたネタニヤフ氏が2日に直接確認の電話を米側に入れたと報じた。接触の事実は否定されたが、イスラエルが米側の動向に神経質になっている様子がうかがえる。
イスラエルにとっての「存亡の脅威」とは、主にイランの(1)核開発(2)弾道ミサイル能力(3)中東各地の「代理勢力」支援―の三つを指す。
米イスラエル両軍は2月28日の作戦初日にイランの最高指導者ハメネイ師を殺害。体制が大きく揺らぐ中、制空権掌握を進めてミサイル関連施設などを破壊し、攻勢をさらに強める構えだ。イスラエル軍はイランの代理勢力の代表格であるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラへの攻撃も激化させている。
イラン側はイスラエルに報復攻撃を加えてはいるが、昨年6月の交戦時に比べれば強度は低い。イスラエル軍情報機関アマンの元高官ミルシュテイン氏によれば、イランからイスラエルに発射されたミサイルなどの数は2月28日から数日で約8割減少。同氏は「イスラエルに作戦上の疲弊は見られない」と指摘する。イスラエルとしては戦闘を続ければ続けるほど成果が出る状況だ。
一方、イランはイスラエルよりも湾岸諸国のエネルギー施設や石油タンカーなどに狙いを定め、世界経済の混乱を招いている。湾岸諸国をはじめとする国際社会や米国内からの停戦圧力がトランプ氏にのしかかる。ミルシュテイン氏は、「イランには消耗戦の備えがあり、あえて攻撃の強度を落とし、長期戦に持ち込もうとしている可能性がある」と分析する。混乱が長引くことをトランプ氏が嫌い、イランとの停戦模索に傾いていく展開も想定される。
【時事通信社】
〔写真説明〕トランプ米大統領(左)とイスラエルのネタニヤフ首相(AFP時事)
2026年03月07日 07時15分