
【ベルリン時事】ハンガリーで12日実施される議会選(一院制、定数199)まであと1週間。中道右派新党「尊重と自由(ティサ)」の優勢が伝えられ、2010年から16年間続くオルバン政権は危機に直面している。オルバン首相(62)の中道右派与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」は、ウクライナを国家の「敵」に見立てて国民の不満をそらす戦略で巻き返しへ躍起になっている。
「捕らわれるままか、自由になるか、今こそ選択の時だ」。ティサを率いる欧州議会議員マジャル・ペーテル氏(45)は2日の選挙集会で、政権打倒へ気勢を上げた。低迷する経済の再建と腐敗の一掃に焦点を当て、欧州連合(EU)が「法の支配」の欠如を理由に凍結しているハンガリー向け資金約180億ユーロ(約3兆3000億円)の解除をうたっている。
マジャル氏は元フィデス党員で、政権の内情を熟知。公約では「ウクライナの迅速なEU加盟に反対」しつつ、「脱ロシア産エネルギー」を掲げた。政権が既存メディアを掌握する中、SNSを駆使し、反オルバン票を幅広く取り込んでいる。
一方オルバン氏は、「敵は親ウクライナ政権の樹立をもくろんでいる」と主張。ティサは、ロシア産原油の調達を阻むウクライナや共謀するEUのかいらいとなり、国民が戦争に巻き込まれたり、税金が流用されたりする、との筋書きを広めようとしている。
ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領や自国最優先のトランプ米大統領と友好関係にあるオルバン氏は、欧州の右派ポピュリズム勢力の象徴的存在。EUにとっては調和を乱す「厄介者」で、退陣となれば欧州政界の転機となる。
ティサは支持率でフィデスに10ポイント以上差をつけているとの調査もあるが、政権交代が実現するかは不透明だ。オルバン政権は与党の地盤である地方の票が議席数に反映されやすい選挙制度を構築。仮に敗北しても権力移譲に激しく抵抗する可能性が指摘されている。
【時事通信社】
〔写真説明〕演説するハンガリーのオルバン首相=3月21日、ブダペスト(AFP時事)
2026年04月05日 07時00分