
中国軍機が航空自衛隊機にレーダーを照射して13日で1週間が経過した。中国側は音声データを公開して訓練を「事前通知していた」と主張するが、日本側は「危険回避のために十分な情報がなかった」と反論。ある自衛隊幹部は「中国は論点をずらし、根拠がないのに、あるように装っている。日本は国際社会に事実関係を説明していくだけだ」と語る。
日本の防空識別圏内で、中国の空母「遼寧」から発艦したJ15戦闘機は6日午後、同機に対応するため緊急発進した空自F15戦闘機に向けて断続的に2度、レーダーを照射。中国側は「空自機が50キロに満たない距離まで近づいた」とし、安全のため捜索目的でレーダーを作動させたなどと正当性を訴えた。
だが、照射は断続的に約30分間行われ、空対空ミサイルの発射準備と捉えられてもおかしくない状況だった。ある空自関係者は「仮に捜索目的でも30分の照射は追尾と変わらない」と指摘。自衛隊幹部も「照射すればミサイルを当てることが可能だ」と話す。
当時、遼寧には高性能対空レーダーを備えるレンハイ級ミサイル駆逐艦が随伴しており、この幹部は「空自機の動きは把握できているはずだ」とも分析。安全のために照射したとする中国の主張を「合理的ではない」とした。
中国側は艦載機訓練を現場で海自艦に事前通知したとも主張。中国国営メディアは、海自艦が英語で「I
copied
your
message(メッセージを受信した)」と応じたとする音声を公開し、「それにもかかわらず日本側は訓練区域に侵入した」と批判した。
だが、防衛省幹部は「『I
copied』は受領程度の意味しかない。『訓練を了承した』の意でないことは管制の常識」と反論。別の幹部も「本質はそこではない。事前通知の有無に関係なく、自国の防空識別圏内で発着艦をされれば、戦闘機を緊急発進させ対領空侵犯措置に当たるのは中国も同じだ」とあきれ顔で話した。
〔写真説明〕航空自衛隊のF15戦闘機。対領空侵犯措置などの任務に当たる(防衛省提供)
2025年12月14日 11時29分