検察権限は制約せず=裁判所、弁護人に義務規定―再審制度見直し要綱案・法制審部会



法務省の法制審部会が多数決で取りまとめた再審制度見直しの要綱案には、再審開始決定に対する不服申し立て禁止など検察の権限を直接制約する内容は盛り込まれなかった。冤罪(えんざい)を生み、批判を浴びた検察の裁量が今後も維持される一方で、裁判所や元被告側弁護人に対しては義務規定や違反に対する罰則が導入される。

要綱案では、裁判所が証拠の提出命令を出す前に「検察官の意見を聴かなければならない」と定めた。また、再審請求で本格的な審理に移行する審判開始決定後、検察官が裁判所に対して事実の取り調べを請求できる権利も新たに設けられた。

再審開始を争う検察にとって不利となる不服申し立て禁止や、再審請求の準備段階で弁護人らに捜査機関保有の未開示証拠閲覧を義務付ける規定は導入されなかった。委員の鴨志田祐美弁護士は「検察のための改悪案だ」と強く批判する。

他方で、裁判所は再審請求を受けた場合、審判を開始するか遅滞なく調査し、理由のないことが明らかであると判断した際などは棄却決定を出すことを義務付けられた。再審開始決定を出した裁判官はその後の再審公判に関与できない規定も盛り込まれ、裁判官が少ない地方の裁判所では負担も増しそうだ。

弁護人も開示された捜査機関保有証拠について、コピーの保管を「みだりに他人に委ねてはならない」とくぎを刺された。目的外使用禁止の対象にもなり、利益を得る目的で第三者に見せた場合は1年以下の拘禁刑か50万円以下の罰金刑を科される。

再審開始決定が出ても検察の不服申し立てにより、開始確定までに約9年を要した袴田巌さん(89)の姉、ひで子さん(92)は昨年5月、部会のヒアリングで「巌も衰えた。再審を待たずに亡くなった方、獄中死した方を考えると、速やかに再審を開始すべきだ」と不服申し立て禁止の実現を求めた。願いは法制審に届かず、ひで子さんは先月、「私たちの言葉なんて眼中になかったのでは」とつぶやいた。

〔写真説明〕法務省

2026年02月03日 12時35分


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