米イラン、核再協議へ駆け引き=イスラエルは臨戦態勢―攻撃1カ月



【イスタンブール時事】イスラエルがイランの核施設攻撃に踏み切ってから13日で1カ月。6月24日の停戦発効後もイスラエルは臨戦態勢を崩さず、一触即発の状況が続く。激しい攻撃にさらされたイランは緊張緩和に向け、米国との核協議再開を模索するが、イラン国内でのウラン濃縮に反対する米国との溝は深く、先行きを見通せないまま駆け引きが続いている。

核施設空爆に加わった米国のトランプ大統領は、ウラン濃縮活動を放棄しなければ再び攻撃すると威嚇しつつも「イランは話をしたがっている。適切な時期に制裁を解除できるようにしたい」と主張。早期の協議再開を目指す姿勢だ。

米CNNテレビによれば、米国はウラン濃縮を行わないことを条件に、民生用エネルギー施設への投資や外国銀行のイラン資金凍結解除なども一時検討。ウィトコフ米中東担当特使は「包括的な和平合意」への期待感を示していた。

イランも外交による解決に原則前向きだ。ペゼシュキアン大統領は、対米協議中にイスラエルが再攻撃しないという確約があれば「米国との相違は対話で容易に解決できる」と表明した。アラグチ外相は8日、トランプ氏と緊密な関係にあるサウジアラビアのムハンマド皇太子と会談しており、協議再開の糸口を探ったとみられる。ただ、イランの最高指導者ハメネイ師はイスラエルとの停戦後もウラン濃縮完全停止を拒んでおり、双方が歩み寄れるかは未知数だ。

一方、イスラエルは軍事的威圧を続ける。カッツ国防相は、イランの首都テヘラン上空での航空優勢の維持や核・ミサイル開発能力の回復阻止を掲げ、停戦後も警戒を緩めていない。ネタニヤフ首相は8日、米FOXテレビのインタビューで「(米イスラエルの攻撃が)2回、3回とあり得ることはイランも分かっている」とけん制した。

これに対し、イランのナシルザデ国防軍需相は9日、「さらなる無謀な行動には厳しく対応する」と警告。イランの国営メディアは関係筋の発言を引用し、「イスラエルは戦争を求め、トランプ(氏)が戦争に反対するかは疑わしい。イランは即応態勢を保っている」と報じた。

【時事通信社】 〔写真説明〕トランプ米大統領(右)とイラン最高指導者ハメネイ師(AFP時事)

2025年07月13日 07時12分


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