自民党の高市早苗総裁が21日、女性として日本憲政史上初めて首相に選出された。米シンクタンク「外交問題評議会」によると、国連加盟193カ国のうち、第2次大戦以降に女性が大統領や首相を務めたことがある国は今年7月末時点で82カ国で、全体の約4割に上る。ジェンダー平等先進地の北欧はもとより、男性優位の気風が根強いメキシコでも昨年、シェインバウム大統領が誕生するなど、世界的に「当たり前」となりつつある。
女性で初めて国・地域の首脳となったのは、1960年の英連邦自治領セイロン(現スリランカ)のシリマボ・バンダラナイケ首相。66年にインドでインディラ・ガンジー氏、79年には英国で「鉄の女」マーガレット・サッチャー氏が宰相となった。90年代以降は欧州や東南アジア、南米など各地で誕生。近隣では、2013年に韓国で朴槿恵氏が大統領に上り詰めた。高市氏の首相就任により、先進7カ国(G7)では米国以外で大統領または首相が誕生したことになる。
お茶の水女子大学ジェンダー研究所の申※(※王ヘンに其)榮教授(比較政治)は、女性指導者が増加した背景について「女性運動などを通じて社会の意識が変化し、女性の政治家が増えてきた結果」と説明。一方で、「世界的に共通するパターンとして、政党などが危機に陥った時代に女性首脳が生まれることがある」と指摘する。高市氏については、日本で女性の政治的地位が高まった結果というより、少数与党となった自民党が「刷新感」を求めたことが理由の一つだと分析している。
日本の衆参国会議員の女性比率は20日時点で20.5%。各国議会でつくる列国議会同盟(IPU)の集計によると、G7最下位で、世界平均の27.1%(1日時点)も下回る。
高市氏は、選択的夫婦別姓の導入などに慎重姿勢を見せており、政権下でジェンダー平等政策が進むかは見通せない。申教授は「保守から革新まで、多様な考えを持つ女性がさまざまな組織内で増えることが、また次の女性リーダーが生まれることにつながる」と強調した。
【時事通信社】
〔写真説明〕(写真左上から時計回りに)韓国の朴槿恵元大統領、英国のサッチャー元首相、インドのインディラ・ガンジー元首相、メキシコのシェインバウム大統領(AFP時事)
2025年10月22日 12時44分