再生医療、細胞点滴に試薬=提供計画に不適合、厚労省に報告―院長「体感面での工夫」・東京



病気やけがで機能不全になった組織や臓器を元に戻す「再生医療」などが専門の東京都千代田区の医院で、自己脂肪由来の幹細胞を投与する際、提供計画から逸脱して試薬を混ぜていたことが19日、関係者への取材で分かった。厚生労働省は重大な不適合事案として事実関係を確認している。

関係者によると今年3月、60代の外国人女性に幹細胞を点滴する際、「NAD+」と呼ばれる試薬を0.2ミリリットル混ぜて投与した。再生医療安全性確保法で医療機関に作成が義務付けられている「再生医療等提供計画」に記載はなかった。

スタッフが投与に気付いた際、男性院長は同院のLINEグループで、「幹細胞治療は体感実感が分かりにくい治療なので何か体感面の工夫が必要だが、最も効果的なのはNADとみた」と説明していたという。

計画書は認定再生医療等委員会に提出され、治療内容の安全性が事前に審査される。関係者は「委員会で安全性が確認されておらず、人体にどういう影響が出るか分からない危険な行為だ」と指摘する。

医院側は取材に「同様の例が数件あったが、患者が死亡したといった重大な副作用はない」とした上で、「計画に逸脱していたので、委員会には今月、事後報告した」と回答。院長は「NADは基本的にただのビタミン剤なので混ぜても全然問題ない」としている。

一方、厚労省や同院関係者は医学的評価が確立していないことから「一般的に根拠がしっかりしたものではない」と話している。

【時事通信社】 〔写真説明〕東京都千代田区の再生医療医院のグループLINEのやりとり(一部加工してあります)(同院関係者提供) 〔写真説明〕厚生労働省=東京都千代田区

2025年11月20日 10時18分


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