報復措置、慎重に選択=高市首相を集中批判―発言撤回重ねて要求・中国



【北京時事】高市早苗首相の台湾有事に関する発言に反発する中国の習近平政権は、報復措置を慎重に選んでいる。現時点で、習政権が打ち出した措置は自国への影響が少ないものばかり。国営メディアは高市氏個人を対象とする非難を繰り返しているが、日本全体への批判は抑制している。

高市氏は21日、日中関係について「戦略的互恵関係の包括的推進という方向性に変わりはない」と記者団に語った。しかし、中国外務省の毛寧報道局長は同日の記者会見で「戦略的互恵関係を発展させたいと思うなら、発言を即刻撤回すべきだ」と主張。中国側が歩み寄る気配はない。共産党機関紙系の環球時報は、21日まで5日連続で1面で高市政権を批判した。

習政権は、日本への渡航自粛や留学計画の「慎重な検討」を国民に促している。日本産水産物の輸入を事実上停止することや、24日にマカオで開く予定だった日中韓3カ国の文化相会合の延期も決めた。

これらの措置による中国側の経済的損失は限定的だ。日本産水産物は実質的に2年以上、輸入が中断しており中国でほとんど流通していない。習政権はさらなる報復を示唆しているものの、措置の拡大に踏み切れば日本からの投資の減少が懸念される。中国の景気は低迷しており、容易に追加の「カード」を出しづらいという見方もある。

一方で、国営新華社通信は、名前に引っ掛けて「毒苗」と高市氏を呼び、やゆする論評を配信。国営中央テレビは「日本国民が高市氏の辞任を求めてデモを行った」と強調している。非難の対象を高市氏や「日本の右翼分子」(同テレビ)に絞り、国民の反日感情が暴走しないよう警戒している可能性がある。

【時事通信社】 〔写真説明〕中国外務省の毛寧報道局長=18日、北京(EPA時事)

2025年11月21日 18時51分


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