中国、政府・メディア一体で発言非難=宣伝戦、対日世論硬化も



【北京時事】高市早苗首相の台湾有事発言を巡り、中国の習近平政権が政府・メディア一体となった非難キャンペーンを展開している。本格的な宣伝戦に乗り出したもようだ。激しい表現の発信も多く、中国国内で対日世論が硬化する可能性がある。

共産党機関紙・人民日報は17日、論評記事「鐘声」で、7日の高市氏の発言は「日本右翼勢力の極めて誤った、危険な歴史観を暴露した」と批判した。「鐘声」は「中国の声」を意味し、党指導部の意向を代弁しているとされる。発言を取り上げるのは2回目で、習政権の意思が反映されたとみられる。

人民日報系の環球時報も17日、1面で高市氏に「多方面から批判が続いている」と報道。「誤った発言を撤回し、中国に謝罪して首相を辞任すべきだ」という日本の学者のコメントを紹介した。

キャンペーン激化の口火を切ったのは、中国外務省の13日の記者会見だった。林剣副報道局長が発言撤回を要求。「もし日本が大胆不敵にも台湾情勢に武力介入すれば侵略行為であり、中国は必ず正面から痛撃を加える」とボルテージを上げた。

14日には中国国防省の報道官が、日本が台湾問題で武力介入した場合は「必ず(中国軍に)頭を割られ血まみれになる」と強い表現で威嚇。国営中央テレビ系メディアの「玉淵譚天」も15日、「痛撃を加える」には「軍事的意味も明確に含まれる」とけん制した。

習政権は今年を「抗日戦勝80周年」と位置付け、反日宣伝を続けてきた。高市氏の発言を巡るキャンペーンで対日感情はさらに悪化する恐れがあり、日系企業関係者や在留邦人の間では不安が広がっている。

【時事通信社】 〔写真説明〕中国の習近平国家主席=10月31日、韓国・慶州(EPA時事)

2025年11月18日 07時41分


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