
【サンパウロ時事】南米チリで14日、大統領選の決選投票が行われ、即日開票の結果、右派野党・共和党のホセアントニオ・カスト元下院議員(59)が当選した。不法移民の流入や治安悪化への対応が最大の争点となり、強硬策を掲げて「チリのトランプ」とも呼ばれるカスト氏が人気を集めた。4年前に左派にかじを切った同国で再び政権が交代し、親米政権が発足する。就任式は来年3月11日。
安定的な社会や経済を背景に「南米の優等生」と見なされてきたチリで揺り戻しが起きたことで、左傾化していた中南米は大きな転換点を迎える。
選管によると、開票率99%の段階で得票率はカスト氏が58%、与党左派連合の共産党に所属するジャネッテ・ハラ前労働・社会保障相(51)が41%。1回目の投票で2位だったカスト氏は敗退した他の右派候補から支持を取り付け、与党への批判票も吸収した。カスト氏は「恐怖のない生活という希望が勝った」と勝利を宣言した。
チリは近年、ベネズエラなどから大量の移民が流入。凶悪犯罪も目立つようになり、治安悪化と移民流入を結び付ける風潮が広がった。カスト氏は選挙戦で30万人を超える不法移民に「荷物をまとめて退去せよ」と警告。不法入国を阻止するため、北部国境に「壁」を構築する計画を掲げた。
ハラ氏は移民や治安では迫力に欠ける政策を並べた。週40時間労働や年金改革など、ボリッチ政権の閣僚としての実績を訴えた。
【時事通信社】
〔写真説明〕14日、チリ大統領選で当選が決まり支持者に手を振るホセアントニオ・カスト氏(左)=サンティアゴ(EPA時事)
2025年12月15日 15時22分