ゼレンスキー氏、NATO加盟断念も=「安全の保証」米関与焦点―ウクライナ和平案、修正大詰め



【ベルリン時事】ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、ロシアによる侵攻の終結に向けた和平案に関し、停戦後の再侵攻を防ぐための確固とした「安全の保証」があれば、北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念する用意があると表明した。一部メディアにSNSで伝えた。

NATOの集団防衛義務を規定する「5条のような保証」を支援各国と取り交わすことを提唱した。最大の焦点は米国の具体的な関与だが、トランプ政権が受け入れるかは依然不透明。ゼレンスキー氏は「カナダや日本といった国々からの安全の保証」にも期待感を示した。

ゼレンスキー氏は同日、ベルリンで米国のウィトコフ中東担当特使、トランプ大統領の娘婿クシュナー氏と会談。ウィトコフ氏は「多くの進展があった」とX(旧ツイッター)に投稿した。

ロシア寄りとされた米主導のウクライナ和平案に、ウクライナや欧州の意向を反映させる修正作業は大詰めを迎えている。15日夜には、欧州主要国の首脳がベルリンに集合。米国との間で「安全の保証と領土(問題)の選択肢に関する共通の立場」(仏高官)を確認したい考えだ。

仏大統領府筋は12日、修正案の要点について「ロシアが再侵攻を企てれば、米国と立ち向かわねばならないとはっきりさせておくこと」と指摘した。米国はウクライナに、東部ドネツク州への「非武装地帯」設置をのむよう迫っている。

欧州連合(EU)は18日からの首脳会議で、ロシアの凍結資産を担保とした900億ユーロ(約16兆5000億円)規模の対ウクライナ融資の合意を目指す。同国の継戦能力を高め、和平交渉での立場を強める狙いだ。

14日のロシアのタス通信によると、ウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は和平案修正に関し、「どんな内容になるのか知らないが、良くはならないだろう」と述べ、反対する姿勢を強調した。

【時事通信社】 〔写真説明〕トランプ米大統領(写真右)とウクライナのゼレンスキー大統領(AFP時事) 〔写真説明〕14日、ベルリンで握手を交わすウクライナのゼレンスキー大統領(右から2人目)と米国のウィトコフ中東担当特使(ドイツ政府提供)(EPA時事)

2025年12月15日 13時30分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース