
【北京時事】中国軍制服組トップ、張又侠・中央軍事委員会副主席と、同委委員の劉振立・統合参謀部参謀長の失脚が明らかになってから31日で1週間がたった。背景を巡っては、習近平国家主席(中央軍事委員会主席)が軍内で張氏らの影響力が強まるのを警戒したとの見方が出ている。主要幹部が不在となったことで、指揮命令系統の混乱も予想されている。
31日付の軍機関紙・解放軍報は論評で、「重大な規律・法律違反」の疑いで張氏らを調査するという共産党中央の決定を「全軍将兵は断固として支持しなければならない」と強調。習氏の下で結束するよう呼び掛けた。
張氏は習氏と父親同士が国共内戦の戦友で、習氏の信頼が厚いとされていた。習氏に代わり軍を取り仕切っており、中越戦争での実戦経験を持つ数少ない幹部の一人として軍内での威光も大きかった。名実ともに軍の実力者が粛清されるのは、極めて異例だ。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、張氏が汚職や側近、親族を統制できなかったことで告発されたと報道。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、核兵器計画の機密情報を米国に漏えいしていたと報じた。だが、軍最高幹部が自ら重大機密を漏らすのは考えにくい。
解放軍報は、失脚公表翌日の社説で「(トップの習氏に権限を集中させる)中央軍事委の主席責任制をひどく踏みにじり破壊した」と張氏らを非難した。防衛省防衛研究所の杉浦康之主任研究官は「習氏が軍内での派閥形成を懸念したのではないか」と指摘。副主席だった何衛東氏ら東部戦区出身の幹部が昨年10月に多く処分されたことで、張氏、劉氏ら中越戦争の参加組が影響力を強め過ぎたのを習氏が警戒したと分析する。
軍の最高指導機関である中央軍事委の現体制は、2022年10月に7人で発足した。だが、メンバーの相次ぐ失脚で習氏と張昇民副主席の2人だけという異常事態になった。指揮命令系統への影響は避けられないとみられている。
作戦部門のトップである劉氏の失脚で当面、台湾侵攻は難しくなったとの見方も多い。ただ、習氏も短期的な混乱は織り込み済みで、盟友を切ってでも自らに絶対服従する軍への転換を優先させた可能性がある。
【時事通信社】
〔写真説明〕中国の張又侠・中央軍事委員会副主席(右)と同委委員の劉振立・統合参謀部参謀長(ロイター時事)
2026年02月01日 07時20分