
【ワシントン時事】米中西部ミネソタ州で発生した不法移民対策を巡る市民射殺事件が、トランプ政権に打撃となっている。看板政策である移民摘発強化は保守層の支持を得てきたが、取り締まりが行き過ぎだとの批判が拡大。トランプ大統領は11月の中間選挙に影響が及びかねないと焦りを募らせているとみられ、軌道修正に乗り出した。
米メディアによると、トランプ氏は野党民主党上院トップのシューマー院内総務と水面下で協議し、同党が求める移民税関捜査局(ICE)職員らの覆面着用の禁止やボディーカメラ装着の義務化などを受け入れることで一致。ミネソタ州でICEの態勢を縮小する方針も示した。これにより、ICEを所管する国土安全保障省を含む予算案審議への影響を最小限に抑えた。
トランプ氏が主要政策に掲げてきた移民摘発強化で柔軟姿勢に転じた背景には、2週間余りで市民2人が犠牲になるなどICEの過度な摘発への反発が広がっていることがある。30日には全米各地で抗議デモが行われた。中間選挙の激戦区では移民政策の是非が結果を左右しかねず、共和党内でもICEを全面的に擁護することへの慎重論が強まっている。
ロイター通信の世論調査では移民摘発強化について、治安改善への期待から政権発足当初の昨年1月には50%の支持を得ていた。しかし、今年1月の調査では39%に低下し、ICEの摘発は「行き過ぎだ」との回答は約6割に達する。
一方、民主党は中間選挙を見据え、移民政策で攻勢を強める構えだ。政府閉鎖の長期化を避けるため予算案審議では妥協したものの、国民の不満が募る物価高や医療保険制度に加え、移民摘発も主要争点として前面に打ち出す方針。移民問題を巡る攻防は選挙の行方に影響を及ぼしそうだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕トランプ米大統領=30日、ワシントン(EPA時事)
2026年02月01日 07時20分