
衆院選では、日中関係悪化など緊張が高まる安全保障環境への対応も争点だ。高市早苗政権は防衛費増を含む安保関連3文書の改定を年内に前倒しする方針で、自衛隊の現場では防衛力強化への期待が高まる。一方、選挙での論戦が低調な中、安保政策の「ブレーキ役」だった公明党の連立離脱に対する懸念もあり、選挙を通じた議論と説明を求める声が上がる。
「安保政策の大転換を問うていきたい」。高市首相は1月26日の党首討論会でこう意気込んだ。小泉進次郎防衛相も衆院解散直前の記者会見で「国民の信任を得た上で、必要な安保政策のギアを上げていく」と述べた。
ある防衛省関係者は「防衛力強化の重要性が世間に注目され、議論が深まることは大歓迎だ」と話す。自衛隊幹部の一人も「与党が勝てば安定した政権基盤が確保され、3文書の円滑な改定ができる」と期待する。
ただ、この幹部は「選挙で議論や説明が尽くされないまま『国民の信任を得た』となれば、政権の歯止めが利かなくなり、現場が置いていかれるのでは」と漏らす。
こういった現場の懸念の背景には、安保政策のブレーキ役だった公明が自民党との連立を解消し、代わって「アクセル役」を自負する日本維新の会が新たなパートナーとなったことがある。
維新の公約には、日本が堅持してきた「専守防衛」を「積極防衛」に転換することや、米国との原子力潜水艦の共有など、自民と比べても「タカ派色」の強い言葉が並ぶ。公明は防衛装備品の輸出を救難や輸送など「5類型」に限る現行ルールの維持を訴えてきたが、自維連立政権では撤廃に向けた動きが加速している。
元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は「あまりに短期決戦なため、安保政策は票に直結しづらいのだろう」と分析。その上で「政権が突っ走らないようチェックするのが国民の代表たる国会だ。有権者は今後の国会議論を意識し、投票先を選ぶ必要がある」と話した。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見する小泉進次郎防衛相=1月23日、国会内
2026年02月04日 07時05分