
【イスタンブール時事】米イスラエルとイランの交戦は開始から半月が過ぎても激化している。軍事的に圧倒する米イスラエルに対し、イランは「指揮分散」や「非対称戦」を駆使して抵抗。米国はイランのミサイルや無人機の攻撃が開戦当初より約9割減ったと強調するが、長期化に備えてきたイランの継戦能力が衰える兆しは見えない。
「東西での米国の敗北を20年間研究した。『分散されたモザイク防衛』でわれわれは戦争終結の時期や方法を決められる」。イランのアラグチ外相は開戦直後、戦争遂行力に自信を示した。
モザイク防衛とは、指揮命令系統をイラン各地の部隊へ分散させ、指導部が排除される「斬首作戦」後も、事前に決めた戦略に応じて戦闘を続ける手法だ。米国が2000年代初頭、イランの両隣イラクとアフガニスタンの政権を崩壊させた戦争を教訓に、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」が確立させた。
開戦初日には最高指導者ハメネイ師や治安組織司令官ら多数が殺害された。ただイランでは、司令官らの死亡に備え3~4人の後継者を決めておくとされる。殺害後も軍・治安機関の指揮系統に混乱は見られず、機動的かつ多層的な攻撃を続行。モザイク防衛が奏功している形だ。
「非対称戦」も大きな柱だ。特に安価な無人機の攻撃を多用し、高価な迎撃ミサイルを敵に浪費させ、高い経済的損失を負わせて厭戦(えんせん)機運を高める狙いだ。
イスラエルの推計では、開戦前のイランのミサイル保有数は約2000~2500発。革命防衛隊はこれまでにミサイル700発を発射し、無人機3600機を飛ばしたと主張している。今後どれだけ攻撃力を保てるかは未知数だ。ただ、要衝ホルムズ海峡の事実上の封鎖など、交戦が長引くほど世界的な悪影響が深刻化する手法について、米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は「世界経済の面から戦争を持続不可能にする意図的な戦略」と指摘する。
イランが地下施設などに貯蔵するミサイルや無人機の実態は不明だ。イラン国防軍需省報道官は14日、「今後はより破壊力が強く、正確性を増した高性能兵器を使う」と警告した。中東の衛星テレビ局アルジャジーラは「イランの軍事思想では、戦争は火力ではなく持久力の争いと見なされている」と伝えている。
【時事通信社】
〔写真説明〕イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」の兵士ら=イラン南部のペルシャ湾岸(同隊が2月16日公開、詳細な撮影地は不明)(EPA時事)
2026年03月16日 20時31分