
障害者の雇用促進や活躍できる職場を目指して警視庁が創設した「業務サポートオフィス」が、発足7年目を迎えた。現在は知的障害や精神障害のある10~30代の男女18人が、データ入力などの事務作業や備品の製作など、さまざまな業務に従事。丁寧な仕事ぶりが評価され、各所属からの依頼は初年度の6倍に増え、現場の警察官らの負担軽減に欠かせない存在となっている。
オフィスは2020年4月、全国の警察に先駆けて発足した。障害者の雇用実績があった民間企業など約20社を参考に、どのような業務を任せれば組織内で良い循環を生み出せるか検討が重ねられ、人事1課内の一つの部署として運用することに決定。桜井恵美係長は「一人ひとりが安心して働き続けるには個々の特性と向き合いながら業務に取り組める体制が必要と考えた」と振り返る。
現在は「MPDオフィスサポーター」と呼ばれる障害者のほか、事務局の職員3人と支援員6人が常駐。サポーターの特性に合った業務を振り分けたり、体調に気を配りながら作業内容を指導したりしている。
東京・霞が関の警察総合庁舎別館にある作業スペースは今春拡張され、大きな窓からは皇居の堀が一望できる。周囲を気にせず作業に集中できるよう、パーテーションで区切られた1人用ブースや防音用の保護具なども用意されている。
依頼内容は、イベントで配布する啓発品の袋詰め、書類への押印やデータ入力、警察犬の訓練に使う布の裁断、縫製など多岐にわたる。その多くは、各所属の警察官が宿直中の休憩時間を削ったり、残業したりしてこなしていた業務だ。
「サポーターに頼むと丁寧」「納期を守ってくれる」といった評判が広がり、初年度に約200件だった依頼は6年間で約1200件に増加。サポーター自身も「できる業務がどんどん増えて、自信が出てきたようだ」(桜井係長)という。桜井係長は「眠っている業務をさらに掘り起こし、庁内でより身近で信頼される存在になりたい」と意気込んだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕取材に応じる警視庁人事1課「業務サポートオフィス」事務局の桜井恵美係長(右)と小出啓督警部補=4月27日、東京都千代田区
〔写真説明〕封筒ののり付け作業に黙々と励む、「MPDオフィスサポーター」ら=4月27日、東京都千代田区
〔写真説明〕警視庁業務サポートオフィスの職員らが製作した連絡用メモと封筒。警察署からの依頼で、印刷や裁断、封入を行う=6月5日、東京都千代田区
2026年07月03日 07時02分