食料高騰、長引く恐れ=低所得国の貧困層に打撃―ホルムズ再開もリスク残る



【ロンドン時事】米国とイランが戦闘終結に向けた覚書で合意したことで、物流の要衝ホルムズ海峡を通過する船舶が増えている。足元の原油先物相場は大きく下落したものの、100日以上に及ぶ事実上のホルムズ封鎖は既に肥料などの価格を押し上げ、食料価格高が続く恐れが出ている。特に、農業生産基盤が脆弱(ぜいじゃく)な低所得国で、貧困層への打撃が懸念される。

調査会社ケプラーの船舶追跡サービス「マリントラフィック」によると、6月17日に米国とイランが覚書を交わして以降、ホルムズ海峡の船舶通航量は劇的に回復。同月19~21日の週末にかけての航行は、1週間前に比べて約3倍の93隻に急増した。その後も通航は徐々に増えている。

原油だけでなく、農業に不可欠な肥料の多くもホルムズ海峡を経由する。サウジアラビアをはじめとする中東諸国は、化学肥料の原料である尿素や硫黄などの有力生産地だ。

人口14億人を抱える世界最大の尿素輸入国インドは中東に供給を依存。農業大国オーストラリアも中東が主な調達先となる。世界銀行によると、肥料価格指数は4月、米イスラエルの対イラン攻撃が始まった2月から44%上昇した。

英調査会社「アーガス」によれば、6月下旬以降、中東産の硫黄などの輸送が活発化。硫黄は、4月下旬には中東地域に在庫が約100万トン積み上がっていたが、航行再開後は約30万~40万トンまで減少したという。肥料価格上昇も直近では落ち着きつつある。

ただ、供給網混乱が収まるには時間がかかるとみられる。燃料価格高騰で生産、輸送コストも上昇する中、農家が肥料の使用を抑制すれば「収穫量が減少する」(国際食糧政策研究所)ため、食料高が当面続く可能性がある。

国連貿易開発会議(UNCTAD)は、経済的に脆弱な国における「生活必需品のコスト増は貧困世帯に深刻な打撃をもたらす」と警鐘を鳴らす。特に子供の栄養状態悪化を懸念し、国際的な支援体制が必要だと訴えている。

〔写真説明〕アフリカ南部マラウイの倉庫に積み上げられた肥料の袋=5月19日(EPA時事)

2026年07月06日 09時34分


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