
滋賀県は6日までに、琵琶湖の水中遺跡「葛籠尾崎湖底遺跡」(同県長浜市湖北町)で、縄文時代早期(1万1000~1万500年前ごろ)のものと推定される土器をほぼ完全な形で発見したと発表した。同遺跡で見つかった土器の中では最古とみられる。
県は文化庁事業の一部を受託する形で、10月に同遺跡がある湖底を調査。4台のカメラを取り付けた無人潜水機で水深64メートル付近の写真や動画を撮影した。湖底の地形や遺物の散布状況などが確認できる3D画像を作成し、分析したところ、高さ約25センチの砲弾の形をした縄文土器1点を確認した。表面に連続した文様を付けた「押型文土器」の可能性があり、形状などから煮炊き用として使われていたとみられる。
近接した場所からは古墳時代中期(5世紀)の土師(はじ)器のかめ6点と、年代不明の土器1点が見つかった。県によると、このうち三つのかめは一列に並ぶように沈んでいることから、船の積み荷がまとめて落下した可能性があるという。
県は今回見つかった土器を引き揚げず、そのままの状態で保存する方針。
県文化財保護課の福西貴彦係長は「1万年以上前の土器がほぼ当時と同じ形で見つかるのは極めて珍しい。外気と遮断された水中だからこそ残ったのではないか」と話した。
琵琶湖には78カ所の水中遺跡が点在し、葛籠尾崎遺跡は1924年、漁師の網に土器が掛かったことを機に発見された。同遺跡では、縄文時代早期から平安時代後期までの土器など約200点が見つかっている。
〔写真説明〕琵琶湖の水中遺跡「葛籠尾崎湖底遺跡」で発見された縄文土器(滋賀県提供)
2025年12月06日 14時34分