学士院新会員に9人=東北大の大野英男氏ら



日本学士院(野依良治院長)は12日、新会員に東北大の大野英男特別栄誉教授ら9人を選定した。学術上顕著な功績があった科学者から選ばれ、非常勤の国家公務員として年250万円の終身年金が支給される。会員数は137人となった。新会員は次の通り。

稲上

毅氏(いながみ・たけし)社会学。東京大名誉教授。西欧と北欧を対象にした国際比較的実態調査により、日本の雇用慣行などとの類似性と違いを明らかにし、産業・労働社会学の水準を飛躍的に高めた。東京都江東区出身。81歳。

川合

康三氏(かわい・こうぞう)中国文学。京都大名誉教授。中国古典文学の特質の解明に努め、中唐期の文学が人間の精神領域を画期的に拡大させたことを提唱するなど、多大な業績を挙げた。浜松市出身。77歳。

宮本

又郎氏(みやもと・またお)日本経済史、日本経営史。大阪大名誉教授。高度に発達した市場経済を基礎とした近世経済や商家経営が、近代日本への重要な遺産となったとする説を提示した。福岡市出身。82歳。

青木

玲子氏(あおき・れいこ)経済学。公正取引委員会委員。産業組織論におけるイノベーション・技術開発競争の研究に加え、科学技術・競争政策、少子化などの社会問題でも優れた業績を挙げた。東京都目黒区出身。69歳。

長谷川

昭氏(はせがわ・あきら)地震学。東北大名誉教授。沈み込み帯の地殻・マントル構造と地震・火山活動を高い解像度と精度で明らかにするなど、重要課題の解明に大きく貢献した。群馬県桐生市出身。80歳。

藤野

陽三氏(ふじの・ようぞう)構造工学、橋梁(きょうりょう)学。城西大学長。長大橋の振動現象に関する未知の現象を発見、解明。構造物の健全度を判断する「構造制御モニタリング学」を確立した。東京都豊島区出身。76歳。

大野

英男氏(おおの・ひでお)半導体物理・半導体工学。東北大特別栄誉教授。電子の電荷とスピンの同時利用で発現する物理現象に関し先駆的研究を行い、技術基盤の構築を先導した。東京都港区出身。70歳。

難波

成任氏(なんば・しげとう)植物防疫・ファイトプラズマ学。東京大大学院特任教授。稲などに異常を起こす病気が新たな植物病原細菌群によることを解明。ファイトプラズマと命名し、発病の仕組みなどを明らかにした。東京都千代田区出身。74歳。

松岡

信氏(まつおか・まこと)植物育種学。名古屋大名誉教授。農業生産に関与する数多くの重要な遺伝子を世界に先駆けて単離・同定し、稲の分子育種の礎を築いた。愛知県豊橋市出身。70歳。

2025年12月12日 17時08分

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