5億円で土地売買持ち掛け=逮捕の司法書士、不動産業者に―地面師不正登記事件・大阪



大阪市北区にある不動産の登記が所有者に無断で変更された事件で、逮捕された司法書士が不正登記後、不動産業者に5億円で土地の売買を持ち掛けていたことが31日までに分かった。業者が取材に応じ、交渉の経緯を振り返った。

司法書士の松本稜平容疑者(34)は昨年1月、本来の所有者に成り済まし、北区中津の土地、建物を三重県の電気工事会社に売却したとするうその登記をしたとして、電磁的公正証書原本不実記録・同供用などの疑いで大阪府警に逮捕された。

昨年2月ごろ、市内の不動産仲介会社代表の男性は、中津の「物件概要書」を入手した。約800平方メートルの「古家付き土地」で、立地は再開発が進む大阪・キタ近く。価格は5億円だった。男性は買い手に名乗りを上げた業者らと共に、窓口になっていた松本容疑者との交渉に臨んだ。

交渉の場には、電気工事会社の代表の男も同席し、松本容疑者は「債務整理を通じて知り合った」と説明した。だが、男は自己紹介するのみで、中津の土地の購入経緯や売却費用の使い道を尋ねられても松本容疑者が代わりに回答。建物の内覧要請に対して「鍵を探している途中」と話し、挙げ句の果てには「半分は現金で払って」と要求した。

男性はこの日以降も松本容疑者と複数回面談したが、不信感は拭えなかった。現地を訪ねるなどした末に、本来の所有者の代理人弁護士らと接触でき、同容疑者らは「地面師」だったと気付いた。同席の男は、同容疑者と共に逮捕された小鹿瑞樹容疑者(33)だったという。男性は「いま振り返れば、松本容疑者の話す内容全てが怪しかった」と憤った。

同じ頃、不動産会社「ブエナビスタ」(大阪市)の図越寛社長の元にも、中津の土地の売却情報が入った。価格は4億円だったが、持ち主の会社が三重県にあり、設立から数カ月しかたっていないことが気になった。

その後、本来の所有者が売買などの禁止を裁判所に求めたことが分かり、図越さんは地面師の関与を確信。売却情報の発信源をたどると、松本容疑者に行き着いたという。

図越さんは「司法書士から紹介される物件は安心、安全という先入観が業界にはある。予断を持たないことが重要だ」と強調した。

〔写真説明〕司法書士の松本稜平容疑者らが不正登記したとされる不動産。現在は解体工事が進んでいる=14日、大阪市北区

2026年02月01日 07時19分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース