「経営トップへの依存」脱却へ=企業風土改革を加速―小林製薬会長



小林製薬の大田嘉仁会長は3日までにインタビューに応じた。紅麹(べにこうじ)配合サプリメントによる健康被害問題を受け、外部から招聘(しょうへい)され3月に就任した大田氏は、同社の課題を「(経営トップへの)依存体質の強さ」だと指摘。創業家を中心とした経営陣に判断を委ねてきた企業風土からの脱却を目指す。

小林製薬は1999年の株式上場から紅麹問題発覚前の2023年12月期まで、純利益ベースで20年以上増益を続けた。大田氏は、好業績を背景に「自己主張するより、誰かに依存する方が仕事をしやすくなっていた」と分析する。収益優先で設備投資が遅れ製造現場は疲弊していたが、依存体質が災いし「(本部に改善するよう)言わなかった」と指摘。結果として、マーケティング部門の強さに反し「製造部門が弱体化していた」という。

紅麹問題では、原因物質が混入した過程で、工場内の培養ドラムに経年劣化の亀裂があったことなどが明らかになっている。大田氏は「計画的に設備を更新するのが一番だ」と述べ、製造分野を強化する構えだ。併せて、これまで品質管理が子会社などとの間で統一されていなかった問題も挙げ、「製造全体の構造改革をする」と語った。

一方で、小林一雅前会長ら創業家について「実績はある」と評価。問題発覚後に小林製薬が進める「脱創業家」の動きには「距離が離れ過ぎている気がする。もうちょっとアドバイスをもらってもいいのではないか」と疑問も呈した。

大田氏はかつて、京セラ創業者の故稲盛和夫氏の側近として、経営破綻後の日本航空の再建に携わった。小林製薬では現在、部長級以上の幹部を対象に「リーダー勉強会」を定期的に開き、社員が自ら判断・行動できる社内文化の醸成を図っている。大田氏は「上(の世代)が変わらないと、企業風土は変わらない」と訴えた。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える小林製薬の大田嘉仁会長=7月25日、大阪市中央区 〔写真説明〕インタビューに答える小林製薬の大田嘉仁会長=7月25日、大阪市中央区

2025年08月03日 19時04分


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